趙甲済
今日の韓国を病気にさせるKBS-MBC-SBSの寡占体制の扇動放送の構造は、1980年全斗煥政権が悪名高い言論統廃合を通じて作ったものだ。中央日報が経営したテレビ放送、東亜日報のラジオ放送、地方のMBCを強制的にKBSとソウルMBCに統合させたのは、放送を操縦して世論を操作しようとする意図から出発した。全斗煥政権はKBSとMBCに既得権を保障するため、新聞は地上波放送に進出できないという色々な特典を与えた。
こういう既得権構造の中に安住してKBSとMBCは、公営を裏切り偏向を選択した。1990年代から韓国社会を風靡した左傾意識が(放送社の)構成員らを支配するようになった。1998年に登場した左派政権10年は、放送を政権維持の手段として利用し、KBSとMBCは「ユネスコ世界文化遺産(悪の遺産)」として残すほどの操作と扇動を繰り返し、大韓民国勢力には敵対的に、民族反逆者の金正日体制には好意的に対した。言論の正道から完全に離脱して扇動放送の道を歩みながら、自分たちを公営放送だと偽装した。
こういうKBSとMBCが存在する限り、韓国社会は精神的に破壊され、自由統一と一流国家の建設は遠ざかる。こういう問題意識から李明博政府が推進したメディア法改正案が昨日国会を通過した。が、その内容はぼろぼろになった。ハンナラ党が左傾政党とMBCの顔色を窺い、党内では朴槿恵勢力が反発したため、新聞社と企業の地上波放送への参加を極度に制限し、結局今の扇動放送の既得権を保障する結果になってしまった。メディア法改正の最も重要な目標が崩れた。
それでも左傾勢力と扇動放送らが反発しているのは、李明博政府が公益のためやることは無条件反対して世論を悪化させ、2012年に左傾勢力が再執権する道を開くという意図だろう。
国会で7月22日通過した改正「メディア法」の最終案には、ハンナラ党が発議した原案にはなかった多様な放送進入への障壁が新たに追加されたと今日の朝鮮日報が分析した。
「メジャー新聞が放送に進出すれば世論市場を寡占する」という民主党や既存放送会社らの反発を意識して、新聞の放送進入を規制するための措置だ。現在全体放送市場の売り上げの80%以上を占める地上波3社が強大な世論支配力を行使している状況を勘案すれば、むしろ「地上波中心の放送寡占構造を解消する」という立法趣旨とは逆の結果になったという指摘もあるという。
まず、改正メディア法は、購読率が20%を超える新聞は、最初から地上波放送の持分の所有や経営をできないようにした。新聞の放送進入を許可段階から制限する「事前進入規制」だ。購読率の上限線は、7月21日ハンナラ党が公開した修正案では25%だったが、朴槿恵元代表が「もっと低くしろ」と言って、一夜で5%ポイントを下げたという。新聞の放送進入をその分さらに難しくしたのだ。「放送進出」を望む新聞社は、発行部数や有価紙の部数も公開するようにした。新聞社の経営情報の公開を放送進出の前提条件としたのだ。 2012年末までは新聞の地上波経営も禁止された。
新聞の放送進出以後も、該当放送会社の「視聴占有率(視聴者の総視聴時間中、特定放送を視聴した時間の比率)」を把握して規制を加えるなど「事後規制」も新しく導入された。視聴占有率が30%を超える場合、放送通信委員会が放送会社の所有および広告時間の制限などを命令できるようにしたのだ。放送委の命令を履行しないと、許可の取り消しまで可能なため、放送事業を続けるためには無理にでも視聴占有率を30%以下に保たねばならないという不思議な制度ができる。
30%に設定した視聴占有率の上限を計算する時、放送持分を所有した新聞社の購読率も合算するようにした。ハンナラ党の指導部が「新聞+放送」の市場占有率の合算が30%を超える場合、該当新聞に放送進入を禁止するという朴元代表の提案を一部変形して受容れた結果だ。ハンナラ党は、当初、購読率を視聴占有率に換算する時、10%以上に反映しないようにしたが、これもまた朴元代表が難色を示して換算基準および反映比率を今後大統領令で定めることにしたと朝鮮日報は伝えた。法の公布から1年後適用されるこの制度は、ドイツなどではすでに放送に進出したメディア企業のタコ足式の追加放送進出を制限するため運用されている制度だと専門家たちは言っている。新聞が放送に新規進入段階である韓国の現実に照らし過度な規制だと指摘する。
朴槿恵元代表の影響力が大きい「正修奨学会」は、MBCの株式の30%を保有している。彼女は利害当事者だ。そのような利害当事者が、ハンナラ党のメディア法に反対票を投ずると言ってからMBCに有利な案を貫徹させた。大韓民国の守護勢力が「精神的毒劇物」と看做すMBCの扇動放送に対する(朴槿恵議員の)問題意識が感じられない。
韓国内に、MBCより共同体にもっと危険な組織が他にあるのか? 如何なる企業や新聞も、MBCよりは良識がある。ところが、「メディア法」は、企業と新聞が放送に参加するのは有害だという前提を敷いて制限を加える。善悪の区分ができない人々が作った法が、扇動放送を正せると期待するのは無理だろう。扇動放送の問題は、国民が大いに怒って解決するしかない。執権層の卑怯さは国家を危機に陥れる。