イラン事態は北韓事態の予告篇

イランで起きることが北韓でも起きるよう支援しなければならない。これが自由市民の義務だ。
日付: 2009年06月23日 02時08分

鄭昌仁(自由統一フォーラム代表)
イラン(北韓)が直面している文明史的転換要求
旧時代的政治宗教独裁体制が崩れることが歴史の発展
 
歴史は発展する。歴史が発展するということは、人間が歴史を発展させることを意味する。人間が歴史を発展させる主体になれる理由は、人がみな道徳的感性を持っているからだ。ところで、この道徳的感性は、単純に現体制に適応しようとする道徳心でなく、人間の本性に合うように社会制度を直そうとする改革指向性を意味する。歴史の発展と関連した改革は、まさに個人の自由を拡大する改革を意味する。それで歴史の発展とは、個人の自由の拡大を意味する。したがって、自由を縮小させる変化は発展でなく退歩だ。したがって、歴史は全ての抑圧的な社会制度から個人を解放する方向へ流れ、これを歴史の発展と定義できる。
 
個人を抑圧する社会的制度の代表的なものがまさに宗教的抑圧だ。今、われわれが教会やお寺に行く時、圧力のため行くことはない。したがって、今宗教は抑圧の主体でない。しかし、歴史的に祭司長が権力を独占した時代があった。まさに神政政治時代という人類の未開時代にあった政治体制だ。エジプトのファラオが振るった権力がまさに宗教的権力だった。そしてローマの法王が一時この権力を振るった。その時代には魔女狩りが可能だった。だが、人権が普遍的な価値として受容れられる現時代にも、まさに祭司長が権力を独占し独裁政治をする社会があって、まさに一部のイスラム国家がその例に属する。
 
アフガンで権力を執ったタリバンがそういうケースであり、1979年に革命を起こして神政政治に戻ったイランがまさにそのケースだ。ところが、人類の知識が未開状態だった古代社会の神政政治はそれなりの存在理由があった。周辺環境に対する知識が蓄積されず、あらゆる自然現象を神の現象として思い神に人間の禍福を祈願した。したがって、祭司長が権力を独占するようになったのは、逆説的に野蛮時代に人間の自由を護るための一つの方法だった。しかし、科学的知識の発展で、これ以上神に人間の運命を任せる理由がなくなってから、祭司長の役割はそれこそ宗教的役割に制限された。むしろ敵対的集団から自分たちを保護するため王に絶対的権力を任せる絶対王政が神政に代わるようになった。
 
今は、王政も人間の自由を抑圧する制度と認識され、民主制度に代替された。現在、絶対王権を認める国はない。民主主義に対する信念が広がって、王は君臨するものの統治はしないという線で妥協した国も存在する。全ての人が平等だということを基本的原則としてわれわれは受容れており、その原則の上で民主主義が制度化された。このような文明時代に未だ宗教的指導者が絶対的権力を振るう反動的革命に成功した国があって、その一つがアフガンのタリバン政権で、他の一つが1979年に革命に成功したイランだ。
 
1979年、アメリカに近かったパーレビ王を追放して宗教指導者のアヤトラ・ホメイニが権力を握った。そしてイスラムの宗教指導者が絶対的権力を持つ今の神政体制を構築した。1989年にホメイニが死んで現在の最高指導者のアリ・ハメイニが権力を承継した。
 
今イランで起きている抗議デモは、初めは大統領選挙をやり直せということだったが、ハメイニの演説後、ハメイニの下野を要求するものに変わった。6月12日実施されたイラン大統領選挙で現大統領のアフマディネジャードが65%以上の得票で再選に成功したと発表された。だが、ムサビを支持する人々は選挙不正があったとして再選挙を要求した。これに対して最高指導者のハメイニが、6月19日演説を通じて、選挙不正はなく、アフマディネジャードが勝利したと宣言した。1-2百万票の差でなく、千百万票の差を選挙不正の結果と見られないというのが彼の理由だった。そして、選挙への抗議がイランの敵(米国と英国)の教唆によるものだと罵倒し、これ以上の抗議は徹底的に取り締まると宣言した。これによって再選挙要求がハメイニに対する拒否運動に転換した。
 
ハメイニは絶対権力者だ。軍隊の統帥権を持っており、国家の全ての重要職を任命する。彼が選挙が公正だったと宣言したのに、選挙不正に抗議するデモをやるのは命をかけた行動だ。だが、抗議デモは止まず、特に若い女性らがデモ隊の先頭に立っている。昨日、民兵隊のバシジによって殺害された女性のネダはイランの抵抗の象徴になっている。
 
今、イランで起きている抗議デモは、選挙の不正に対する抗議から始まったが、ハメイニの演説によってイランの政治体制に対する正面挑戦へ発展すると見られる。現代社会に合わない神政政治そのものに対する拒否運動に発展する可能性が大きい。命をかけて抵抗運動を導くムサビはすでに選挙不正が問題でないことを行動で示している。宗教の名をもって独裁権を振るっている宗教指導者、また宗教指導者が絶対権を持つ現政治制度自体に対する不満へと、今の抵抗運動が発展する可能性が大きい。実に、文明史的転換点をイラン人たちが直面するようになったのだ。
 
歴史はこのように発展する。ここ30年間イランに旧時代的宗教独裁体制が樹立されたが、もう国民の抵抗に遭うようになった。こういうことが北韓で起きないとは限りない。軍事独裁は尚更存在する理由がない。宗教的独裁は宗教の名で行われる独裁だから、それなりに個人独裁とは区別される。だが、北韓の金正日一族の独裁は、全く金正日個人権力を維持するための独裁であり、それこそ時代錯誤的な野蛮的独裁で存在する理由が全くない。
 
北韓同胞がいつかは金正日の個人独裁を拒否するはずだ。われわれは、北韓同胞が自由を勝ち取れるよう助けるべきだ。イランで起きることが北韓でも起きるように支援しなければならない。これが自由市民の義務だ。
 
http://unifykorea.net2009-06-22 12:40

閉じる