金成萬(元海軍作戦司令官)
大韓民国にかつて無い安保危機が音も無く迫りつつある。2012年4月17日、韓米連合司令部が解体され、「戦時作戦統制権」(以下「戦作権」)が韓国軍に転換されると、危機は現実化する。
軍元老たちが「戦作権」の韓国軍への転換を止めるための「最後の嘆願」に出た、という「戦作権の転換時期の再検討を…」という記事が4月24日付の朝鮮日報に載った。老躯を引っ提げて安保危機を防ぐため東奔西走している軍元老らの安保に対する懸念を、言論は関心すら持たなかった。
最近、北韓が核兵器と弾道ミサイルで武装しても心配する国民がない。その理由は、「韓米連合司令部」が平時に戦争を抑制するだけでなく、もし北韓側が誤判して戦争を挑発する場合、北韓軍を短期間で壊滅させ、韓国主導の南北統一まで約束しているからだ。そのような「連合司令部」が解体されるとどうなるのか? 米軍の戦時の参戦も、自動介入から米議会の同意後の参戦に変更される。したがって、戦争に対する抑制力が弱まり、韓半島での戦争勃発の可能性が増大することになる。また、韓国が独自に戦争抑制力を構築するためには約400兆ウォンが必要だ。
しかも、韓米連合軍司令部が解体される予定の2012年は、安保に脅威になるいろんな要因が重なり、危機がさらに増幅すると思える。北韓は、2012年を「強盛大国への進入の年、連邦制統一の年」と住民たちに宣伝している。韓国は、2012年4月に総選挙、12月に大統領選挙がある。アメリカは、2012年11月に大統領選挙がある。金正日の健康悪化による「急変事態」もあり得る。北韓側の核実験後、質的に変わった韓半島状況に合わせて、戦時作戦権の転換と連合司令部解体の条件や時期を再検討せねばならず、言論も持続的な関心を寄せてくれることを望む。