趙甲済
韓米友好協会の会長の朴槿前国連大使は、愛国運動の指導者でもある。この老外交官は、「北韓の核武装に立向かえる唯一で効果的な方法は、対応核開発だ」と言ってきた。彼は、中国が金正日の首を圧迫して核を放棄させると期待するのは希望事項にすぎない可能性が高いと言った。「中国は、人類の普遍的価値や理念に基づいて動く国でない。徹底的に国益を中心に行動する。金正日の核武装が(中国の)国益に決定的な損になると自覚すべきなのにまだ遠い」と彼は語った。中国がそう自覚するようにする方法は、韓国の核武装の推進だ。論理と法理は充分だ。国際社会が責任を持って金正日の核武装を防ぐのに失敗したため、敵の核脅威に露出された韓国は、国家の生存次元の道を模索しなければならないということだ。
すなわち、正当防衛次元の対応核武装を推進するという国家意志を示すことだ。政府ができないなら、国民運動でやることもできる。これから大統領および国会議員選挙では、自衛的核武装を公約する大統領候補を選ぶという国民運動も可能だ。
韓国は核拡散禁止条約(NPT)に加入しているため、核武装を推進するためにはこの条約から合法的に脱退しなければならない。国際法を違反せず、対応核開発ができる方法を見出さねばならない。NPTにそのような条項がある。第10条だ。その内容は、「この条約と関連した問題により非常事態が発生したことで、その国の至上の国家利益が危険に直面する時は、この条約から脱退する権利がある。NPT条約加盟国と国連安保理に3ヶ月前に通知しなければならない」となっている。
北韓もこの条項を名分にNPTから脱退した。北韓は脱退する前にすでに不法的にウラニウム濃縮方式による秘密核開発を進めていた。すでに殺人を犯してから刑法を無くせ、という格好だった。北韓の国益を威嚇する事態も起きていなかった。
ところが、韓国はこの10条に基づいて脱退できる。まだ交戦相手である北韓政権が、核兵器を保有し、侵略された韓国は核兵器を持たない状況が作られた。北韓政権は国連から侵略者と規定されたし、テロ国家だ。しかも、国連など国際社会が北韓の核開発を阻止できなかったため、大韓民国を核武装した金正日政権の前に抵抗不能状態に露出させた。これ以上国家を危険に陥れる非常事態は想像できない。
こういう論理を以て条約から脱退すれば、脱退による国際的制裁や不利益を免じられるはずというのが朴槿大使の話だった。アメリカも内心ではそのような核武装の動きを望むかも知れない。中国に対する圧力になるからだ。もちろん、中国が乗り出して金正日の核武装を阻止し、核施設と核物質と核爆弾を解体するように助けてくれれば、我々も対応核開発を中断することができる。そのようなカードとしてでも大韓民国政府と国民は対応核開発を宣言しなければならないというのが老愛国者の忠告だった。大韓民国が背水の陣を敷かなければならないという話だ。
別の方法は、大量殺傷武器そのものである金正日政権を解体する工作だ。今日、ちょうど「愛国団体総協議会」(李相薫会長)が、「我々も核とミサイルを開発しなければならない」という新聞広告を出した。まず、民間部門からこういう堂々とした代案が活発に出なければならない。殺人強盗は拳銃を持って襲い掛かるのに、警察が棒のみで対抗しなければならないと考えること自体がナンセンスだ。