金成萬(前海軍作戦司令官)
北側が年初から準備したテポドン2号の弾道弾発射が差し迫っている。聯合ニュースによれば、金明吉国連駐在北韓代表部公使は、2009年2月26日、北韓のミサイル発射動きと関連、「人工衛星の発射は予定通りにやる」、「(発射の)時点が残っただけ」と明らかにした。金公使は、引き続き、「人工衛星発射は我々の自主的権利であり、普遍的性格のことで、我々は自主的権利行使を続けてきたし、今後も続ける」、「(米・北)交渉の対象になり得ない」と強調した。
また、ミサイル発射が国連安全保障理事会の決議案1718号に違反するという韓米両国の批判に対して、「我々は、そういう決議に対して存在自体を認めたことがなく、今後もそのような決議は認めない」と言い切った。
ミサイル挑発の時点は、早ければ3月8日の「最高人民会議」代議員選挙の前後、遅くとも4月初と予想される最高人民会議の第12期1次会議や金正日の執権3期宣言式の以前が有力だ。北韓は、1998年にも金正日の執権2期宣言を5日控えた8月31日テポドン1号ミサイルを発射したことがある。
これに対して米国と日本は足早に動いている。両国は、北韓に強い警告メッセージを送ると同時に、ミサイル迎撃体制を整えている。米国務部は、2月23日、北韓のミサイル発射動きと関連し、「北韓の弾道ミサイル活動を禁止した国連安全保障理事会の決議案1718号に対する明白な違反だ」という既存の立場から全く変化がないと強調した。
オバマ米大統領と麻生太郎日本総理は、2月24日、ホワイトハウスで首脳会談を持ち、北韓の核およびミサイル発射問題に共同対処していくことに合意した。この日の頂上会談で、6者会談のプロセスを通じて、「北核」を検証可能な方法で除去すると同時に、北韓のミサイル問題においても緊密に協力することに意見が一致したとホワイトハウスが伝えた。
米国のティモシ・キーティング太平洋司令官は、北韓がミサイルを発射する場合、大統領の命令さえあればこれを撃墜する準備ができている、と2月26日明らかにした。彼は、特に米軍はイージズ駆逐艦、イージズ巡洋艦、長距離レーダー、宇宙空間の(ミサイル防御)システム、地上発射迎撃ミサイルなど最小限5種類の異なるシステムをもって対応することになると強調した。太平洋司令部は、2月10日、海軍艦艇を北側の動きの監視位置に移動させることにしたと発表したことがある。
日本は、イージズ駆逐艦(SM-3ミサイル)と地上配置のパトリオット・ミサイル(PAC-3)を実際運用して迎撃する方向で検討中だ、と2月27日の産経新聞が報道した。まず、イージス艦で大気圏外で撃墜を試み、失敗すればパトリオットで迎撃を試みる体制だ。日本のイージス艦は、2007年12月、ハワイ沖合いで、そしてパトリオットは2008年9月にアメリカのニューメキシコ州で迎撃実験に成功した。
日本は、現在イージス艦2隻にSM-3ミサイルを搭載させ、追加で4隻に搭載するためシステムを改良している。そして首都圏の4ヶ所などにパトリオット・ミサイルを配置完了した。日本は、1998年、北韓がテポドン1号を日本の上空を通って太平洋へ発射した時、東海にイージス艦を配置して、これを追跡することに成功した。
それでは、北韓がミサイルで挑発する時、韓国は黙って見っているべきなのか? 結論から言えば決してそうでない。わが軍も、今度堂々と対応することができる。われわれが保有しているイージズ駆逐艦(世宗大王艦)とパトリオット・ミサイルを運用すれば良い。イージス艦を東海に配置してSM-2ミサイルで迎撃して、失敗すればパトリオットで撃墜すれば良いはずだ。
世宗大王艦(1兆ウォン)は、2008年12月に海軍に引き渡されて戦力化しており、空軍のパトリオット(PAC-2)大隊(1兆ウォン)も、2008年11月から戦力化中だ。まだ完全に作戦配置になっていない状態だが、今度の機会をのがしてはいけない。国防部は静かに措置を急ぐべきだ。米・日と一緒に連合作戦をする方案もある。
そして、もし、北側が、韓国を縦断して西南太平洋へ発射する可能性にも備えねばならない。中国やロシアのため北に向けての発射が難しく、東側や東南側は、米国と日本の邀撃のためにそうだ。2006年7月5日のテポドン2号のように、途中で落下する場合は、われわれが大きな被害に遭うこともあり得る。多角度の対処が必要だ。
李相憙国防部長官は、2月26日「星友会」の創立20周年記念式(戦争記念館)で、祝辞を通じて、決然とした意志で対北メッセージを発した。李長官は、「北側の常套的かつ修辞的な威嚇に動ぜず、毅然と対処し、挑発行動には明確かつ断固として対応する」と強調した。
李長官は、また「わが軍は、北韓が挑発しないことを期待するのではなく、(挑発の)抑制に失敗時、必ず勝利するという能力と対備態勢を信じている」とし、「今夜でも戦闘が開始されても必ず勝利する強い戦士、強い軍隊を育成して、自由民主主義と市場経済の憲法的価値を守護し、政府の政策を強い軍事力をもって支えていく」と強調した。この席には、合同参謀議長、3軍の参謀総長、海兵隊司令官と予備役将軍400人余りが参加した。
李相憙国防部長官が国民に約束した通り、わが軍が言葉だけの対備態勢を維持するのではないことを、今度必ず行動で示すことを期待する。北韓は、韓国を攻撃するため約800基以上の弾道弾を作戦配置している。今度の事態を通じて、わが軍は、北側には挑発の末路が惨めであることを教え、国民には大きな信頼を見せねばならない。
[金成萬・前海軍作戦司令官:http://konas.net/]