趙甲済
<しかし、北韓が西海の北方限界線(NLL)付近で武力挑発の動きを見せる中、臨津閣で伝単(ビラ)を飛ばす場合、海州などに布陣した北韓海軍の主力部隊の頭の上にビラが落ちて軍部を刺激する可能性が大きいという憂慮が提起される。また、北のお金5000ウォン札(韓国2000ウォン相当)には、金日成主席の顔が入っているため、地に落ちてひどく毀損されるのも北側を刺激する要因になるという観測だ。統一部は、スポークスマン論評で、「伝単散布が北韓に状況悪化の口実を提供しかねないと多くの国民が憂慮する」、「散布の自制をもう一度促す」と明らかにした。>
想像力が豊富なこういう記事を書いた朝鮮日報の記者と、このような論評を出した統一部のスポークスマンの判断は間違った。北韓政権の本質に対する理解が足りず、国家と憲法の重さを量り間違っている。真実とお金が盛られた伝単が、北韓軍部を刺激する可能性もあるが、飢えた軍人らを鼓舞する可能性もある。刺激するといってもそのため挑発はしない。
北韓では、スパイ一人を送ることも金正日の決心如何にかかっている。北韓軍部が気分が悪いからと挑発する組織なら、一年に数十回も挑発したはずだ。挑発して得になればやり、損になるとこのようなビラを数億枚送ってもじっとしているのが北韓政権だ。国軍と韓米同盟、そして国家保安法がすべて北韓政権を刺激するものだ。それでは、国軍を解散すべきか?
彼らが、李明博大統領を「逆徒」と呼ぶのは刺激でないのか? 核実験とミサイル発射は刺激でないのか? 恨みを抱いている脱北者や拉致者の家族が、真実とお金を入れて北の同族に直接助けを与えようとすることを、「北韓同胞に対する愛」として認識せず、「北韓軍に対する刺激」として認識する人は、事大主義や奴隷根性から自由になるよう格別に努力する必要がある。
北へ送る北韓貨幣には金日成の顔が入っていると心配するようだが、民族反逆者の顔(絵)を毀損することは推奨すべきことであって止めることでない。ヒットラーの写真を傷つけてはいけないと主張するユダヤ人たちがいたら、人間の扱いをされるだろうか? 韓民族にとって、金日成・金正日はヒットラーよりもっと悪い人間だ。
統一部の(国民を)自責する論評は、一種の利敵行為だ。もし、北韓軍が西海上で軍事的挑発をの理由を、「対北伝単(ビラ)」にする場合、統一部はこれを反論する論理的根拠を自ら崩している。北側が対北ビラを理由に軍事的挑発をしたと発表すれば、統一部は、「その話が正しい。韓国の極右派が北側の正当な対応を招いた」と論評するつもりか?
国民に金正日の顔色を窺うよう薦めるような、このような記事や論評は、金正日政権が韓国政府を侮るようにさせる。北のほうは、「あんな魂のない集団は太った豚と同じだ。米軍さえ撤退すれば、やせたオオカミのようなわれわれに食べられる運命だ」と考えるだろう。このような自信感が状況を誤判させ、戦争の可能性を高める。すべての戦争は誤判から始まる。記者と統一部がそのような誤判の可能性を高めてあげることは、挑発の可能性を高めることだ。