オバマの「北核」の容認に備えて韓日は軍事同盟を締結すべし

愛国勢力は、脱北者たちと一緒に自由統一を主導せよ!
日付: 2009年01月04日 02時20分

李柱天(圓光大学教授)
バラク・H.オバマが、アメリカ大統領に当選した後、次期米行政府の対韓半島政策を探るための作業が左右を問わず盛んに行われている。だが、報道機関やアメリカ問題専門家の多くは、次期米行政府の一面だけを大いに議論し、これを誇張、歪曲している実情である。
それで、フリーゾーン・ニュースは、保守性向の歴史学者で、「金正日の対抗馬を探せI-II」の著者である李柱天教授(圓光大学史学科教授、前ミズーリ大学客員教授)を12月29日、ソウル市内で会い、今後の米国の対韓半島政策の行方を歴史的観点から眺望してみた。<編集者 注>
 
‐一般的に米は左右の立のない国として知られてきた。だが、今度大統領選でオバマ・キャンプは、共産主義者である「チェ・ゲバラ」を選挙戦で活用し、国内の保守陣を驚かせた。アメリカ社の「リベラル」(liberal)は、理念的にどういう性向の勢力か?

アメリカの場合も、左右の対立が相当久しい。一例で、1917年、ロシアのボルシェビキ革命の時、少なくない米国内左派の人々が、ソ連を行き来しながら共産党人士らと交流を持ったが、彼らが米国左派の始めだ。以後1930年代に入り、ルーズベルト大統領がソ連を国家として認めてから、いわゆる「ユナイテッド・フロント」(The United Front)を形成し、ヨーロッパのファシズム(Fascism)に米・ソが共同対応してから本格的に左派ムードが米国で始まった。

以後、大恐慌と共に1940年代に入り、米国共産党(CPUSA)が大手を振ったが、この勢力を「オールド・レフト」(Old Left)として言える。アメリカでは第2次世界大戦後、冷戦(cold war)とベトナム戦争を経ながら、この戦争のすべての責任が米国にあるという、「ニュー・レフト」(New Left)が登場することになる。これだけ見ても、米国の左右対立はその根が非常に深い。
 
一般的に、米国の右派は清教徒精神(Puritanism)、憲法精神、アングロ・サクソン式のヘゲモニーなど、過去の健全なアメリカ的価値を伝統として見做す傾向がある。反面、米国の左派は、米国の過去の伝統より未来を重視し、多民族主義、混血主義、堕胎賛成、少数人種への配慮、第3世界支援などの問題に重点を置く傾向が強い。
 
したがって、米国社会の「レフト」(Left)は、自由主義・共産主義・進歩主義・無政府主義(アナーキズム)等が全て含まれ、リベラル(liberal)の場合、この中で最も右に置かれていると見ることができる。
 
結局、リベラルは左だが、左から最も右に近付いているもので、左翼との最も大きな差は共産主義をどう見るのかによって決定される。一例で、アメリカ大統領の中でケネディの場合、リベラルに属したが、彼は共産主義を反対した自由主義者(liberalist)であった。
 
‐韓の場合「自由主義」(liberalism)という用語が、左派よりは保守陣で主に使われる。
 
われわれの場合、自由主義が小さな政府や北韓人権を強調する人々の間で主に使われるが、このような差が現れる根本的な原因は、アメリカと韓国の自由主義の発展の程度が異なるためだ。アメリカは、すでに自由主義が完成段階に達した国であり、韓国は今も自由主義が発展段階の国だ。我々はまだ自由主義を完全に体得できずにいる状態だ。
 
オバマの理念的性向をどう見るのか?
 
オバマの場合、レフトかリベラルかを問う前に、彼の成長の背景をまず知る必要がある。オバマは、アメリカでイスラム極端主義、社会主義、共産主義、解放神学など急進的な雰囲気が強い時期に幼い時代を送った。今度の米国大統領選挙でも、選挙キャンペーンを見ると、過去韓国の盧武鉉の当選と似た事例がたくさん見られる。
 
オバマは、今度の選挙で何十年間も投票に参加しなかったマイノリティ、アウトサイダーなどを投票場に引き入れる手腕を発揮した。そして、過去盧武鉉がやったように、IT人脈をキャンペーンに取り込んで、ブログを作るなど優れた扇動家的気質を見せた。
 
政治・理念的にも、オバマは検証されなかった人物だ。オバマが今度の大統領選挙で勝利した背景には、イラク戦争と米国の金融危機がある。彼の急進的な性向は、現在は潜伏している状態だ。彼の性向がいつかは浮び上がるはずだ。
 
彼の支持勢力の中に、米国共産党(CPUSA)があったのを忘れてはいけない。結局、時間が経つほど、オバマがアメリカ内の左派の要求をどのように効果的に排除するのかが、カギになるだろうし、私たちはこの部分を注意深く観察すべきだ。
 
‐アメリカの民主党執権の時ごと、韓国は難しい時期を経験してきたが?
 
民主党出身のルーズベルト大統領は、「信託統治」と38度線をひき、トルーマンの場合は韓国戦争中マッカーサーを解任した。当時、満州爆撃問題と関連して、戦争に参加した米軍将軍たちの回顧録を見ると、トルーマンが中国共産党に対して、言葉だけの強硬政策を使っても、中国共産軍が韓半島に参戦できなかったはずだという指摘が多い。
 
米国は、見方を変えれば、病気を与えた後、薬を与える国だ。特に、民主党出身のカーターは歴史上最も親北的なアメリカ大統領だった。この人の政治資金の出処がどこだったのか今でも検討し直す必要がある。大統領候補の時から朴正煕大統領の維新体制を攻撃し、大統領になってからは北韓の金日成と交流して、民間人になってもずっと親北的な行態を見せた。
カーターは、また、在任中第3世界の人権を強調しながらも、北韓人権問題には一切口を閉ざし、駐韓米軍の撤収を露骨に言った。
 
民主党出身のカーター・クリントン・オバマの共通点は、ワシントン政界においてアウトサイダーという点だ。田舎者で、安保問題、特に東アジア問題には門外漢だ。彼らは、選挙で大衆の支持を得るため人権問題を持ち出すが、これは結局「人気迎合主義」(populism)であるだけだ。
 
‐アメリカが本当に「北韓の核」を廃棄させる意志があると見るか?
 
「北核」問題は、大韓民国が金正日共産独裁政権を終息させるという国家的意志が発動する時にのみ可能なことだ。この前提があってこそ、米国も韓国を助けるだろう。オバマ当選者は核兵器のない世界を作ると表明した。
 
ブッシュは大統領に当選した時、北韓をはじめとする「悪の軸」を懲罰して、世界に平和をもたらすように話した。だが、これは結局選挙用の「レトリック」(rhetoric)だっただけだ。韓半島を現状維持(分断)させるということにおいて、民主・共和両党の差はない。
 
ただ、これに対するジェスチャーを異なって見せているだけだ。今米国はイラクやアフガン戦争、そして金融危機の解決で精一杯だ。「北核」のための「6者会談」にあてる時間がない。
 
来年の上半期まで米国は金融危機を解決し、アフガンに兵力を増強しながら、韓国に正式に国軍の派兵を要請してくるはずだ。こういう中で、アメリカは、中国に対して北韓の核兵器を除去するよう頼む公算が大きい。結局、韓半島問題と関連して、韓国が主導権を中国に奪われる公算が大きくなるわけだが、突破口がある。
 
まさに、北核問題と拉致問題などにおいてわれわれと同じ利害関係の日本と軍事同盟を締結することだ。つまり、韓米同盟が重要だという観点から、韓日同盟を通じてアメリカを動かすことだ。アメリカは、今まで韓国と日本を別々に相手にしてきた。
 
だが、韓国と日本が軍事同盟へと進めば、米国は、中国より、韓国と日本を意識して「北核」に備えて「核の傘」を確かに提供するか、でなければ韓・日両国の共同核武装を認める方向に進むほかなくなる。米国は、今、韓日両国が反対しないと、「北核」問題をパキスタン式で済ませる心算だ。だが、韓国と日本が軍事的に近づけば近づくほど、米国は北核問題を取扱いながら、韓国と日本を排除できなくなる。経済問題だけを見てもそうだ。
 
日本は、今東北アジアで韓国と共に自由民主主義と市場経済を共有する国家だ。解放以後の韓日関係は、日本が韓国を助けた場合がもっと多い。日本との「独島領有権」紛争も、軍事同盟で解決できる。韓国と日本が軍事同盟に発展すれば、同盟国の領土の独島に対して日本が問題にしなくなるはずだ。韓国と日本が戦う理由がなくなり、共存・共栄の発展が可能になる。日本と軍事同盟を締結できない理由がない。
 
‐米国の対外政策問題と関連した国内外の記事を見ると、最も多く登場する人物がヘンリー・キッシンジャー(Henry Kissinger)だが、彼がこのように注目される理由は何のためか?
 
ヘンリー・キッシンジャーは、米国政界の「妖怪」だ。彼は、ハーバード大学でオーストリアのメッテルニヒと英国のケスラの勢力均衡原理に着眼して博士学位を取得した。以後ロックフェラーの下で働き、ニクソン(共和党)行政府で仕事をした。
 
この人物が、今は共和・民主両党に対して超党派的アドバイスをしている。理由は米国務部や外交官の中で、ヨーロッパ外交の伝統である勢力均衡論を、キッシンジャーのように深く研究した人がいないからだ。彼は、勢力均衡論に関する限り独歩的な人物だ。
 
米国の歴代政治家たちは、本来勢力均衡の次元で政治をしなかった。戦争をやれば完全に敵を懲らしめる人々が米国の伝統的政治家たちだった。だが、キッシンジャーの場合、戦争をしても戦争以後の問題、特に国益をどのように最優先に配分するのかに焦点を合わせる。
 
こういう脈絡で、キッシンジャーは韓半島問題において統一に反対する立場だと言える。米国は父のブッシュが、ドイツの統一過程で相当の役割をした。ところで、いざ、統一ドイツを許したら、ドイツがヨーロッパで米国に対して「自主外交」を宣言したのだ。
 
米国は、韓国の場合、統一したら、「ロウソク示威」など反米的性格が強いためドイツよりもっとはやく「脱美化」が進むと見ている。経済的に見た時、韓国の「脱米」は、対外武器販売問題、経済問題と重なり、アメリカの立場で相当の打撃になる。軍需・経済市場など東北アジアの版図が変わるのに、アメリカが果たして韓半島の統一を支持してくれるだろうか?
 
キッシンジャーは、すでにこのような計算書をブッシュに見せたはずだ。だから、「北核」の6者会談も、昔メッテルニヒが主導したウィーン会議のように「ダンシング・パーティー」(Dancing Party)になったのだ。このキッシンジャーの背後には国際ユダヤ勢力とウォール街の金融業者らが陣取っている。
 
‐米国のオバマ行政府と韓国の李明博行政府が衝突する可能性はあるか?
 
オバマ時代の韓米関係は、過去のクリントンと金泳三政権の関係に転落する可能性を排除できない。オバマの執権6ヶ月~1年の間は大きな問題がないだろう。だが、安定期に入る2010年になると、韓米FTAと対北問題などで不協和音が生じる可能性がある。
 
したがって、オバマ行政府に対する正確な情報と分析が必要だ。オバマの経済処方せんが韓国に及ぼす影響を多角的に分析しなければならない。アメリカは、韓米FTAと韓国産自動車問題など韓米間の経済懸案に対して問題を提起する可能性がある。
 
駐韓米軍への分担金をもっと要求しながら、アフガンに韓国軍派兵を要求してくる可能性がある。完全な韓米連合軍司令部が、盧武鉉政権によって2012年に解体されるが、アフガン派兵問題を韓米連合軍司令部の解体問題と連結させ、米国と取り引きを上手くやるべきだ。
 
今まで、我々は対米協商で専門家たちを多く養成した。彼らを適材適所に配置しなければならない。オバマ行政府は、民主主義と人権の拡大をアジェンダ(agenda)として打ち出した。
 
愛国勢力は、なぜアメリカがこれを北韓に対してまともに適用しないのかと問題にしなければならない。米国に、対北経済支援を北韓の改革・開放、人権問題などと連繋させねばならないと要求すべきだ。韓米両国の国益と人類の普遍的価値のための韓米同盟関係が提案されるべきであり、オバマが韓国を抜いて北韓と等距離外交接触をしないようにしなければならない。
 
北韓の中国式改革・開放は可能なのか?
 
北韓が改革・開放をするためには、それを表面化させられる主体勢力が現れるべきなのに、北韓には改革開放の実体がない。結局、北朝鮮の改革開放のモデルは、中国でなく、中国より豊かな大韓民国しかない。中国の改革開放は、台湾と関係なく進められてきた。中国は自ら毛沢東が主導した文化大革命を体験しながら、イデオロギーよりパンが重要だということを体験した。
 
特に、中国の改革開放の主体だった登小平と周恩来は、パリ留学派として豊かな西側の世界を経験した人々だ。中国は、また70年代から多数の若者を海外に留学させ、彼らが中国に戻り、改革開放を主導した。北韓で改革開放ができるためには、このような外国留学派か改革開放の主体勢力が存在しなければならない。
 
しかし、まだこのような勢力が見当たらない。つまり、黄長燁先生がいう北韓の改革開放派が、北韓には存在しないという点が中国式改革開放の限界だ。金正日が死んでから部分的な改革開放はあり得る。しかし、北韓政権は、去る60年間、住民を無慈悲に弾圧してきたので、全面的な改革開放はできない。支離滅裂になるはずだ。
 
‐大韓民国主導の「自由統一」が可能だと思うのか?
 
自由統一をするためには、統一の主体勢力を先ず育てなければならない。そして統一の主体勢力は脱北者たちでなければならない。韓国内の脱北者に教育の機会を提供し、彼らが今後政治・経済・教育界の主要人物になれる土台を創らなければならない。脱北者は自由統一の前衛部隊だ。彼らが統一問題の先頭に立って韓国内愛国勢力は側面で支援しなければならない。
 
米国の場合、1830年代ゲリスンによる「The Liberator」の発刊と、1852年の「トムおじさんと小屋」の出版を通じて、奴隷解放問題を表面化した。我々の場合、自由北韓放送をはじめとする脱北者放送と共に、対北伝単(ビラ)送り運動などが活発に展開されている。雰囲気がとても良い。
 
自由統一は、愛国勢力が脱北者たちと一緒にやることだ。南北韓の若者たちが行先がなく、彷徨っている。突破口は統一しかない。統一という、目標の確かな運動で若者たちがやりがいを感じられるように、愛国勢力は今や自由統一運動に邁進しなければならない。
 
整理/フリーゾーン・ニュース金泌材記者(spooner1@freezonenews.com)
 
www.freezonenews.com 2008-12-29 18:07:45

閉じる