自由民主主義の普遍性-朝鮮半島の統一像

日付: 2009年01月01日 00時00分

 昨年11月6日、訪米中だった李明博大統領は記者懇談で「自由民主主義体制で統一するのが最終目標」だと、21世紀の朝鮮半島統一像を示した。自由民主主義体制での統一を究極目標としたことに対して北朝鮮の祖国平和統一委員会は同月22日、報道官談話を出し、「戦争による統一を最終目標にすることを世に宣布したも同じ」と拒絶し、「自主統一、平和繁栄に向けた時代的流れに逆行している。李明博政権側とは南北関係と統一問題を話し合う余地がまったくないことが立証された」とエスカレートさせた。短絡した反応ではないか。
 
中国知識人の「08憲章」
 
 時あたかも12月10日、中国の作家、学者、弁護士、新聞記者ら303人がネット上に「08憲章」を発表し、中国政府と共産党に三権分立・多党制採用など制度改革を求めた。憲章は民意反映の最高機関である人権委員会の設立、公職選挙制の採用、財産保護、創業の自由も求めている。中国当局は関係者を拘束したと伝えられるが、憲章は中国の改革開放から出たまぎれもなく新しい潮流だ。自由民主主義体制での統一を「戦争だ」と言う北当局の尺度では中国知識人の憲章は戦争ならぬ内乱にされかねない。
 李明博大統領は昨年2月の就任演説で外交・内政・政権運営に実用主義的アプローチを取ると表明した。実用主義とは懸案に対する実践的・実際的解法とその精神といえるだろう。もし理念が対立するとき、その衝突を止揚する知恵だ。既存の保守とは明瞭に異なる。人類と人類社会の自由、平等、民主主義は東西文明の培った普遍的な価値であり、その価値を制度化する自由民主主義への努力と「戦争による統一」とは次元が異なる。
 
分断線撤廃から統一政府樹立へ
 
 南北に確固とした現代国家がある以上、統一を武力で行うことは不可能である。朝鮮戦争のまさに苦い経験があり、深い傷が残っている。国際関係はより開かれ、緊密になった。本紙がこの50年間訴えてきた平和・自主・民主の統一3原則は不変である。 
 原点に返って統一とは何かと考えると、朝鮮半島の南北の統一とは国土の分断線を撤廃することであるばかりでなく、朝鮮半島の平和を達成して一つの統一政府を樹立し、南北両地域社会を融合することによって、生活基盤を同じくする民族本来の姿に立ち返ることであろう。絶対権力制など極端で抑圧的な社会システムから抜けて民主化し、南北の資源と生産手段を有機的に結合して奥深い経済構造を持ち、経済発展と豊かな地域をつくるための戦略的作業といえる。大事なことは南北両地域の融合に耐える国家社会の構造はどんなものか検証することではないだろうか。
 本紙は1960年代半ばに「統一後の国家像」を明らかにした。「統一後において統一前の行為に対する報復は一切許されない」という第一項目に続いて、統一国家は複数多党制を採用することを掲げた。人権の尊重、全人民の参加のため、南北国民の民意を統合する上で不可欠の政治体制だ。地域融合が完了するまでの権力構造は有力政党政派の連立政府を樹立することを唱えた。例えれば韓国のハンナラ党、民主党、民主労働党、北朝鮮の朝鮮労働党、朝鮮社会民主党、天道教青友党などが連立する構図だ。分断体制下の経験からも絶対権力制を除外する。
 経済体制と所有制では、南北両地域の成果を批判的に受容し、経済基盤を確固とするために生産性の向上を第一に置き、貧富の格差、階級発生など不正義・不平等社会の出現を抑える。所有制では国有、共有、私有を並存させる。
  個人と企業の経済活動の自由を保障し、貿易立国型経済を重視して生産性向上・技術革新が可能になるよう経済システムを柔軟に運営すべきだ。自由経済を保障することを第一に、危機管理や平等原則にもとづく活動監視を担う部門を一体的に運営するが、危機管理以外の国家統制は採らないことを基本とするべきだ。
 外交は友邦とのパートナーシップを強化し、非同盟・非軍事基地政策を守る。国防は自主国防を強める。軍事政策では大量破壊兵器を禁じ、朝鮮半島非核化政策を堅持する。
 南北両地域に情報化した自由な大衆化社会を実現する。 
 
自由民主主義体制での統一

 本紙は、朝鮮半島統一は南北の社会発展をもたらすものであり、人類が獲得した普遍的価値を実現することが方向であると主張してきた。南北両地域の統合に耐える国家社会とは、この普遍的価値に対して開かれた社会であるはずだ。
 統一実現には段階とプロセスが重要だ。また南にとっての北の存在、北にとっての南の存在を相互に認定し合うことが重要だ。分立した南北政府の歴史と背景を踏まえながら、南北は主権国家として対等な存在であることを認めてプロセスを踏まねばならない。韓国当局が提案する国家連合制、北朝鮮当局の提案する連邦制はいずれもプロセスである。その先に待っているのは統一権力を創るための統一総選挙だ。統一権力を生み出すのは全人民が参加する選挙だ。そのプロセスにおいて国民の自由と民主主義が保障されてこそ統一政府が樹立され得る。東西冷戦下、大国の影響を受け2つの政府樹立に至った1948年の反省から、南北の主体力量によって全プロセスを踏むなら、自由な朝鮮半島統一国家は建設できるはずだ。 
 換言すれば、この統一へのプロセスこそ、人類社会が普遍的価値として制度化した、まさに李明博大統領の言う自由主義体制での南北統一にほかならない。


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