張真晟(脱北詩人)
政府(当局)間会談の性格を持つ「南北軍事会談」においてまで、北朝鮮政権はわが政府にビラ問題で公式抗議した。「核強大国」を自任するその騒がしさに比較すると、ビラはせいぜい「文字が書かれた紙切れ」に過ぎないのに、である。それくらいビラは北朝鮮の核爆弾よりも恐ろしい自由民主主義の核爆弾だ。
北朝鮮がそのように敏感に反応する理由は、ビラが真実の武器であるところにある。北朝鮮政権の歴史は偽りの歴史だった。特に、北朝鮮体制を維持させる、金父子の神格化こそ前代未聞の詐欺の歴史だった。(朝鮮労働党は)金日成が生まれた日から朝鮮の歴史が始まり、「8.15解放」と「6.25動乱」(韓国戦争)も金日成が成し遂げた戦勝だと洗脳している。
親北左翼勢力は、北朝鮮の「無償教育」を称賛するが、実はその本質こそ金父子神格化の教育だ。国民の生より、金氏一家の生のため「国家化」された北朝鮮だから、金正日政権はこの偽りの神格化を護るため今まで閉鎖政治をやり、それで一層のこと改革開放も遮断している状態だ。
このような体制を、水が滲みた「砂の城」のように崩してしまうのがまさにビラだ。洗脳の過程は数十年掛かったが、ビラの真実を悟るのは瞬間だ。南北軍事会談で北朝鮮が金正日の金蔓の金剛山と開城工団の遮断を脅迫した理由も、ビラの破壊力が数兆ウォンが掛かった太陽政策よりもっと恐ろしかったからだ。
それなら、わが政府も当然このようなビラを武器にして、堂々と北朝鮮を圧迫すべきだった。北朝鮮は公開媒体を通じて、李明博大統領を「逆徒」と呼び、今も非難のレベルを高め続けている。これは、彼らの公開的非難は合法で、韓国の民間次元のビラは不法だということである。すなわち、彼らは大砲を撃ってもいいが、われわれはパチンコを撃ってもいけない、というごり押しだ。
韓国当局が民間団体らの「風船飛ばし」を自制するように説得することこそ、北朝鮮の独裁者に韓国の自由民主主義を捧げようとするのと同然だ。わが政府は、北側が「ビラ」に対する抗議を続けると、代わりに北朝鮮の労働新聞をはじめ、すべての反韓宣伝手段と対南工作部署の解散を堂々と要求しなければならない。