AI半導体のユニコーンが日本 市場を攻略
AIブームが続くなか、韓国のAIスタートアップの日本進出が相次いでいる。AI半導体でアジアを代表するユニコーンスタートアップに躍り出たリベリオン、生成AIで文書情報を管理する業務用AIモデルを開発、販売するアップステージ、ロボット向け産業用AIを手掛けるリアルワールドなど。これらの韓国AIスタートアップ企業は韓国及び日本のベンチャーキャピタル(VC)などから投資を受け、日本に現地法人を設立して攻略に乗り出した。
日本のベンチャーキャピタルが 進出を後押し
なかでも、2024年7月に創業したばかりのリアルワールド(本社ソウル市)は、製造現場で活用できるロボティクス・ファウンデーション・モデル(RFM)と呼ばれるロボットAI技術を開発するフィジカルAIスタートアップだが、シードラウンド(初期投資段階)で約21億円規模の資金調達に成功し、日本のロボットAI市場に参入した。同社にはLG電子、SKテレコム、未来アセットベンチャー投資などの韓国企業に加え、グローバル・ブレインやANAホールディングス、KDDI、三井化学、島津製作所など、日本のCVC(コーポレート・ベンチャーキャピタル)が出資し、日本進出を後押しした。
AIデータセンターの市場開 拓に着手
日本政府は「AI立国」を目指し、AIと半導体産業に30年までに10兆円を超える投資計画を発表するなど、AIブームを牽引している。これに伴い、日本企業によるAIスタートアップへの投資に弾みがつき、韓国AIスタートアップへの投資と日本進出支援にも拍車が掛かっている。
リアルワールド以外でも、AI半導体のリベリオンには、日本VCのDGダイワベンチャーズが出資。リベリオンは東京に日本法人を設立して、AI半導体とAIデータセンターの市場開拓に乗り出している。
また、23年に日本法人を設立した産業用AI開発のスパーブAI社は、AIで鉄鋼製品の検収及びリサイクル分類業務を行うAIシステム「ビジョンAI」を日本製鉄に供給するなど、日本のものづくりAI分野での導入実績づくりを進めている。
韓日協業でフィジカルAIの 世界標準を共創
ここで注目したいのは、日本の産業ロボット、精密センサー、自動化システムのハードウエア技術と韓国のフィジカルAI技術(RFM)を組み合わせることで、韓日が連携してAIで産業イノベーションを推進するAI時代の韓日共創モデルを創り出すことにある。
このためリアルワールド社では、日本の大学、研究機関とも協力して、日本のロボティクス研究インフラとリアルワールドのデータ駆動型ロボットAI技術を融合して、RFM技術の世界標準を韓日が共創して構築していく取り組みを始めている。 |