通信大手SKテレコムの2700万人分の顧客情報が流出した事件は、携帯通信会社に対する史上最悪のハッキングとされている。官民合同の調査によると、今回のハッキングの背後には北韓の関与を思わせる状況が確認されている。調査によって追跡されたIPアドレスは中国のものだったが、そのIP帯域は過去に北韓が使用していたものであることが分かった。
某安全保障専門家は、「今回のサーバーハッキングの経路は、北韓が以前に使用したものと酷似している。中国のハッカーであれば、通常は香港や他国を経由してアクセスを試みるケースが多い」と指摘した。また、今回使われたIPアドレスは、北韓のハッカー集団「キムスッキ」や「ラザルス」が過去に使用していた帯域と一致するという。
ただし、官民合同調査団は「背後にいる主体の特定には至っていない」との立場を維持している。それでも、韓国通信最大手のSKを標的にしたにもかかわらず、ハッカーからの金銭的要求や脅迫が一切なかった点は不可解だ。数年前から行われていたとされるにもかかわらず、最近になってようやく検知された点も疑問視されている。SKは韓国3大財閥の一角であり、移動通信業界では圧倒的シェアを誇る。セキュリティーには相当な予算を投じているはずの企業が、これほど無防備に攻撃されたことは理解しがたい。
ソウル警察庁のサイバー捜査隊およびSK側は「ハッキングの目的について、あらゆる可能性を踏まえて調査を進めている」と説明している。現在までのところ、通信ネットワークの障害や通信操作を試みた形跡は確認できないほか、加入者の携帯電話が複製されるといった二次被害も確認されていない。金銭的要求やその他の行動も検知されていないことから、今回のハッキングは軍事的な目的であるとの見方が強まっている。
現在までにSKから流出が確認されたUSIMデータ量は9・7GB、計2695万件。SK加入者のほぼすべてのUSIM情報が流出したとなれば、端末固有の識別番号(IMEI)が漏洩した可能性も高いといえる。(ソウル=李民晧)
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