米政府は、韓国で親中政権が誕生する可能性に懸念を示してきた。もちろん日本も同様だ。韓米両国は、盧武鉉政権や文在寅政権下で摩擦が生じ、様々な事案を巡って対立が表面化する場面もあった。
現在、支持率トップの李在明・共に民主党候補は、反米親中的なスタンスであることに疑念を抱くには余りあるような発言を繰り返してきた。「親日勢力が米国の『占領軍』と結託し、支配体制を維持してきた」(2021年7月)、「(韓米日合同軍事訓練は)極端な親日行為だ」(22年10月)、「中国にも謝謝(ありがとう)、台湾にも謝謝」(5月13日、大邱での演説)。
こうした懸念に対し、李候補は「一方的な決めつけは避けるべきで、すべては国益を基準に判断すべきだ」と述べている。とはいえ、一連の発言は、中国をけん制する立場にある米国から見れば、「同盟関係の解消を示唆している」と受け取られる。今年1月には、元米国防総省サイバー政策ディレクターのジョン・ミラー氏が、「米軍を占領軍と呼び、THAAD(高高度防衛ミサイル)の撤去を主張する李在明氏の姿勢は、中国の地政学的な狙いと一致する」と発言している。
安全保障への不安を最も強く感じているのは韓国の国民だ。李在明氏の公約には、「北韓の核の脅威を減らす」といった目標が掲げられているが、それを具体的にどう進めていくのかについては、言及されていない。本人の口からも語られたことはない。北韓の核問題を含む安全保障分野の議論を、避けているように見える。
米紙ウォールストリート・ジャーナルは22日、複数の米国防総省当局者の話として「在韓米軍2万8500人のうち4500人を、グアムをはじめとするインド太平洋内の他地域に移転する案を検討している」と報じた。
こうした米国の懸念が明らかになったことで、韓国国民の不安も高まりを見せている。
(ソウル=李民晧) |