「1強・1中・1弱」の構図で進む6月3日の大統領選挙で、カギを握るのは、1中と1弱候補が手を組む「候補一本化」だ。一部の保守層は、国民の力の金文洙候補の支持率が上昇していることから、単独でも逆転が可能だという見方もある。だが、それは希望的観測に過ぎず、現実味は薄いと見られている。「野合」との批判に甘んじつつ一本化が実現するかどうかが、選挙の行方を左右することになりそうだ
(ソウル=李民晧)
国民の力の金文洙候補の支持率は上昇傾向にあり、「共に民主党」の李在明候補は下落傾向を見せている。当初は20%以上の開きがあった両者の支持率は現在、5~15%台にまで縮まっている。改革新党の李俊錫候補も10%台にまで支持を伸ばしている。
リアルメーター(22・23日実施)の調査によると、李在明候補が46%、金文洙候補が37%、李俊錫候補が10%という結果だった。韓国ギャラップと韓国リサーチ(20~2 ーチビューと韓国世論評価研究所(19・20日実施)では、李在明候補がそれぞれ47%と46%、金文洙候補が39%と41%と、大きく差を縮めてきている。投票日が迫る中、国民の力の支持層も結束を強めている模様だ。韓国の大統領選挙では、かねてから終盤に結集するパターンが特徴として見られる。
朴槿惠元大統領の弾劾による繰り上げ選挙では、「国民の力」の前身である自由韓国党が選挙戦を放棄したも同然の状態だった。それでも、当初は10%前後だった洪準杓候補の支持率は、最終的に24%の得票率まで跳ね上がった。
「候補一本化」のリミットは28日
現時点で、一本化の進展は見られていない。国民の力の金文洙陣営はアピールを続けているが、李俊錫候補は「応じることはない」との姿勢を示している。しかし、水面下では両陣営の交渉が進んでいるようだ。
三者対決のままでは李在明候補の優勢を覆せないと判断した国民の力は、29日の期日前投票が始まるまでに候補を一本化し、「野合」との批判を受け入れてでも現実的な成果を狙う構えだ。改革新党にとっても得票率「10%未満」での敗北は致命的だ。選挙費用の補助金は、得票率10%以上で半額、15%以上で全額支給される仕組みであり、それ以下の場合は全額自己負担となるからだ。
「国民の力」は改革新党に対し「連立政権」を提案している。政権取得後は、長官などの主要ポストを配分し合うというかなり踏み込んだ案を提示している。保守層の間では、「李在明政権の誕生だけは絶対に阻止しなければならない」「阻止できなければ、子孫に顔向けできない」との意識が強い。
両党は、今後の支持率の推移を見極めながら、世論調査の公表が停止される28日まで水面下の駆け引きを続けるものと見られる。28日を過ぎると、たとえ候補の一本化が成立したとしても、それによるメリットは期待できない状態となるからだ。
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