就任4カ月を迎えたトランプ大統領は19日、プーチン大統領と2時間、電話を行った。両人の通話は3回目。トランプ大統領は通話後「交渉ができそうでなければ(仲裁から)退く」と話したという。
トランプ大統領は中東(サウジ、カタール、UAE)の訪問中(13~16日)も、自身とテュルキエが仲裁したロシアとウクライナのイスタンブール接触(15・16日)に大きな期待をかけたが、成果なしで終わるや、プーチン大統領と電話した。米国は戦争当事者なのに、仲裁者のふりをした。米国の言葉は信じ難い。
米露の立場の差は埋められない。即時終戦交渉を強調するトランプ大統領に対し、プーチン大統領はウクライナ戦争の根本原因の除去を強調する。ロシア側はイスタンブールでも、ウクライナに8カ州を要求した。キーウ側は、親ロシアの意見表明だけで政治犯として収容。1万3000人が各種施設に収監されている。この政治犯の3分の1が女性だという。
ロシアは特殊軍事作戦の当初、米・英などの介入でゼレンスキーとの交渉が不可能な状況(現実)が確認されるや、直ちに作戦と戦争方式を変えた。ロシアはもっと大きな戦争、より大きな消耗戦に備えている。一方、西欧は政治宣伝に力を入れている。
トランプ大統領は、軍事不介入、外交的解決を好む。トランプは先週サウジを訪問するとき、長年の敵だったシリアに対する制裁解除を宣言。懸賞金1000万ドルがかけられているテロリスト出身のシリア大統領とも会った。イランについても「私は永遠の敵があると信じていない」と言った。
トランプの外交には便宜的・実利主義だけが目立つ。フーティへの空襲中断は、トランプ政権内の安保タカ派だった国家安保補佐官の交替でできた。JDバンス副大統領を筆頭にしたMAGA陣営(新孤立主義路線)の勝利だった。トランプの外交は危機を煽り妥結を引き出すのには長けているが、ほとんど縫合レベルで、まともな決着はほとんどない。仲裁人を自任するも保証人・実行人の役割は拒否、責任ある事は回避する。トランプ政権4カ月で最も意味のある仕事は、ロバート・ケネディ・ジュニア保健部長官が遂行した米国民の健康のための戦い、巨大製薬会社などとの対決だったのかもしれない。
金正恩は軍事的不介入とスモールディールの妥協、後始末は同盟に押し付けるトランプ式のやり方をよく知っている。間もなく選出される新しい韓国大統領が直面する現実だ。 |