尹大統領弾劾で与党から下野した「国民の力」の党内葛藤と権力闘争は、党員のみならず韓国民の多数を諦めと絶望へ追い込んだ。「国民の力」党指導部は、内閣制改憲を推進するため、すでに大統領候補として選出(3日)された金文洙候補を粛清する野蛮的暴挙・クーデターを起こした。權寧世、權性東など党権派は、朝鮮朝の両班政治のように彼らの権力維持・強化に有利な内閣制改憲のための道具として、世論を操作し、ただ1回の選挙経験もない韓悳洙前総理を迎え入れ、党の大統領候補を不法交替(10日)した。全国民の公憤を買ったこの2人の權によるクーデターは、その日の内に、全党員の投票によって拒否された。金文洙候補が地位を回復、韓国の左右対決・体制戦争は大統領選挙において李在明と金文洙が、乾坤一擲の決戦を行なう。
常識社会ではあり得ない、選挙法違反や破廉恥犯罪など刑事裁判中の犯罪人の李在明を大統領にするための早期大統領選挙が現実となった。今回の早期大統領選挙には7人が候補として登録した。記号1番の「李在明(共に民主党)」2番「金文洙(国民の力)」4番「李俊錫(改革新党)」5番「權英国(民主労働党)」6番「丘ジュワ(自由統一党)」7番「黄教安(無所属)」8番「宋鎭鎬(無所属)」だ(3番は欠番)。
韓国と韓国政治に決定的な影響が懸念されるのが改憲問題だ。韓国を左傾化させた「韓国版の国共合作」である「1987年体制」清算、克服も結局改憲だが、問題は国家の進路がかかった改憲を今の政治屋たちに任せられないことだ。憲法には国家のビジョン、体制と価値観、長期戦略が含まれねばならないが、現政治勢力は彼らの利益と路線を守り強化するため改憲を急ぐ。
弾劾内乱で与党から下野した「国民の力」の權寧世、權性東など党指導部はメディアなどを動員して世論を操作、候補に選出された金文洙を粛清、右派はもちろん、国民を絶望させた。野蛮的クーデターは、党員たちの圧倒的拒否により半日で失敗した。
選挙を管理すべき政府は漂流中だ。崔相穆企画財政部長官兼副総理が李在明党(国会)の弾劾訴追案表決予定で辞退を表明(1日)するや、これを韓悳洙大統領権限代行国務総理が受理、韓悳洙自身も大統領選挙出馬のため2日、辞退、教育部長官兼社会副総理の李周浩が5月2日から大統領と国務総理職をそれぞれ権限代行・職務代行している。
李在明党は政権を握ったかのように行動する。李在明党の選挙戦略はフレーミングだ。非左派には無条件極右というフレームをかぶせる。大法院の李在明の選挙法違反上告審(1日)が大法官10対2で有罪趣旨でソウル高法へ破棄差し戻ししたが、ソウル高法は李在明を配慮、裁判日を選挙後に延期(6月18日)した。他の裁判も選挙後に延期された。李在明党は大法院長を圧迫し、曺喜大大法院長を強制捜査する特検法案を12日、発議した。
金文洙候補はブラックホールのように国民の関心を吸収しているが、当面選挙勝利のため党内外を最大限抱擁せねばならない。クーデター主役の權寧世非常対策委員長の後任には、35歳の初当選の金龍泰議員が内定。選挙実務を指揮する事務総長には朴大出議員が任命された。いずれにせよ、金文洙候補が勝つには非左派候補の一本化がカギだ。
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