私は常々、自己の民族が偉大だなどと自慢げに言う人を評価しません。まして、日本人に誤りがないとする人も、誤りばかりだとするのも正しくはないと思います。ナショナリズムを止揚して、他民族を貶めようとすることも恥ずべきことだと思うのです。
これらは保守派(もしくは右翼)の人々から聞かれますが、そのなかでも目立っているのが、杉田水脈(みお)という前衆議院議員です。同氏は、LGBTの人々を「生産性のない」人と決めつけて、税金を使うことを批判したことで有名です。
その杉田氏は、保守派として最も重要視しているものは、万世一系の「皇室」と「神社」そして「日本語」の三つだといいます。この三つがなくなれば、日本ではないというのです。
そのうち「皇室」すなわち天皇制については、戦争末期、日本政府は「国体の護持」=天皇制擁護を強く要請しましたが、これは日本の侵略戦争の犠牲になったアジア諸民族に対する責任感に欠ける考え方でした。
このように日本政府としては国体の護持を降伏の条件とすることも考えたようですが、降伏文書作成のためのマニラ会議に政府代表を派遣しなかったため結局、無条件降伏文書となり、日本国憲法第1条に至ったのです。
憲法第1条は、「天皇の地位、国民主権」として、「天皇は日本国の象徴であり、日本国民統合の象徴であって、この地位は主権が存する日本国民の総意に基く」となっています。つまり、憲法上は国民主権に基づいて、象徴たる天皇を廃することもあり得るのです。
もちろん、現在はそんな状態ではありませんが、将来そのような可能性があることは頭の隅に置いてもよいと思います。
次に杉田氏のいう「神社」とは何でしょうか。神社本庁の公式サイトでは、全国に8万社の神社があるそうです。
そのうち、天皇家の先祖といわれる天照大御神を祭る伊勢神宮系に属する神社の数は多くはありません。数が多いのは出雲大社系(大国主命)や八坂神社(スサノオの命)、諏訪大社(大国主命の子の建御名方神)など国譲りをした出雲族すなわち新羅系山陰王朝に属する勢力の神社です。
全国に3万2000社も数える稲荷神社はすでに指摘した(本稿47)ように渡来人一族である秦氏(百済もしくは新羅系といわれる)の神社です。春日大社は藤原家の氏神であり、百済系といえるでしょう。また、天満宮は1万2000社もありますが、主祭神は、大宰府に流された菅原道真なのです。道真の怨霊の祟りが怖くて神社に祭ったのです。
このように「神社」といっても様々です。出雲大社や稲荷神社は新羅系・百済系の渡来人が発祥です。つまり、ほとんどの神社は渡来人である韓国人・朝鮮人が祭神であり、その渡来人を祭っていることになります。神社に参拝して頭を下げるのは古来から日本を作ってきた渡来人である韓国人・朝鮮人に対してであることを自覚するべきだと思います。
最後に杉田氏は「日本語」を言いますが、日本語は百済語と同様の開音節言語(母音で終わる)であるところから、「日本語」とは、旧い百済語(韓国語)であったと言ってよいと思うのです。
現在の韓国語は英語と同じ閉音節言語(子音で終わる)であるので、大きく異なります。開音節言語は母音で終わるので発音するのが易しいのです。日本語はどんどん開音節言語の方向を強めていったのでしょう。
いずれにせよ、杉田氏の重要とする「日本語」は古い韓国語(百済語)が基であると考えます。 |