サムスン電子はスマートフォンの新製品「ギャラクシーS25」シリーズを発表した。アップルと世界シェア首位を競い合うが、両社ともに昨年は前年比で出荷台数を減らしている。中国のシャオミが台頭しているためで、同社はサムスンが圧倒的なシェアを占める韓国でも攻勢を強めている。
サムスンの牙城を崩せるか
サムスンのギャラクシーS25シリーズは、1月22日(現地時間)、米カリフォルニア州サンノゼで開かれた新製品発表会で披露された。
グーグルの生成AI(人工知能)「ジェミニ」を搭載。前シリーズのギャラクシーS24と比べ、AI機能が大幅に強化されている。
具体的な機能としては、「フレンチレストランを調べて」と話し掛けると、候補を挙げて地図も表示する。
他に撮影した動画の不必要な音を削除する「オーディオ消しゴム」、音声だけでの検索とメッセージ作成など、さまざまなアプリと連携できる。
同シリーズは韓国では3日まで予約を受け、7日から順次世界で販売される。
世界トップ争う
市場調査会社の米IDCによると2024年10~12月の世界のスマートフォン出荷台数シェアは、アップルが首位で18・7%、2位のサムスンが18・0%で続き、シャオミが13・6%で3位となっている。一方、前年比でみるとアップルが0・9%減、サムスンが1・4%減と2強が減らしているのに対し、シャオミは15・4%増と猛追している。
日本では、アップル(44・7%)、シャープ(12・8%)、グーグル(12・1%)、サムスン(8・4%)、シャオミ(6・7%)の順になっている(MM総研調べ『24年度上期スマートフォン出荷台数シェア』)。
韓国でシェア7割
韓国のスマホ市場は世界とも、日本とも異なった寡占市場を形成している。韓国ギャラップの調査によると、24年の韓国スマホ市場は、サムスンが69%で圧倒的な首位を保ち、アップルが23%と2位ながら大きく引き離され、3位に6%でLG電子が続く。
韓国スマホ市場は揺るぎようもないサムスンの天下だが、ここへ来てシャオミが本格的に進出を始めようとしている。
シャオミは、1月6日に韓国法人のシャオミ・コリアを設立。同15日にはソウルで記者懇談会を開き、韓国市場に向けてテレビなどとともに、スマホの新製品を披露した。
「シャオミ14T」は、カメラ機能にドイツの光学機器メーカー・ライカのレンズを搭載している。グーグルの生成AI「ジェミニ」による各種AI機能も装備している。
価格は同等の性能のサムスン製品と比べ半額ほど。高機能でありながらも割安感を打ち出している。
情報漏洩に不安も
一方で中国メーカーには、情報漏洩への不安が指摘されている。22年北京冬季五輪では参加者にアプリをダウンロードすることが義務付けられた。しかし個人情報漏洩が懸念され、各国は関係者にレンタル機種などを使用するよう対策を講じた。
シャオミの攻勢について、韓国の市場関係者の間では「米新政権の関税政策による輸出減が懸念されるため、新市場開拓に注力しているのだろう」との声が挙がっている。
韓国でのシャオミのシェアは1%前後とされるが、市場調査会社では「サムスンとアップルが支配する市場に食い込むには壁が高い」と分析し、韓国市場への脅威とは捉えていない。
新型スマートフォン「ギャラクシーS25」シリーズを披露したサムスン電子の新製品発表会=1月22日(現地時間)米カリフォルニア州サンノゼ
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