尹錫悦大統領は１月２１日、憲法裁判所に出廷し非常戒厳を宣布することになった経緯を次のように説明した。
「この国が左派に渡り、北の国々に掌握される状況に置かれました。私が拘束されるのは構わないが、この国を救いたく、未来の子孫のためにこの身を捧げる」と所信を述べ、裁判官たちが粛然となった。
４００年以上前の１５９７年２月、李舜臣が特進し閑山島・三道水軍統制使に赴任すると、慶尚右水営の統制使、元均の謀略で逮捕され漢陽に押送される。当時、文武百官は皆「李舜臣は逆賊ですから殺さなければなりません」と王に上訴した。
しかし、領議政兼都体察使（非常事態総司令官）として実権者であった李元翼は、王に「戦時非常事態に殿下が私を殺すことができないように、私も李舜臣を殺すことはできません」と上訴、李舜臣は死刑を免れた。妬み・嫉みからの謀略で死刑直前にあった李舜臣の忠誠を見抜いた名宰相・李元翼が戦時の国難を救ったわけだ。
４００年以上の歳月が流れ、時代も変わったが、政治は変わっていない。不義に屈しなかった名宰相・李元翼は青白里で草家に住み８４歳で亡くなるとき息子に、「訃報も出さず、祠堂や碑石も立てるな」と頼んだ。
現在、韓国は不正選挙で国会を独占した野党が２２人の閣僚を弾劾しており、尹大統領をはじめ首相・国防長官・検事総長・警察庁長・陸軍総長など多くの公職者を弾劾して無政府内乱状態を招いた。
さらに野党は、大統領府予算と新年度予算を全額削減・減額して国政マヒを招いた。このような国会独裁は世界どこの国にも類例がない。
従って戒厳令宣布の理由を見抜いた国民が戒厳に賛成しており、尹大統領の支持率は５２％を上回っている。
尹大統領は司法試験に９回挑戦し合格した。５２歳の晩婚で子どもがいないため、不正疑惑は１件もない。しかし、野党代表の李在明は、多数の企業から巨額の賄賂を受け取ったり業者を通して北韓に１００億ウォンを不正送金した。野党が尹大統領を弾劾した理由は、尹政権が親日・親米に傾いて北・中・ロに敵対したというものだ。
野党代表の李在明は、北韓と中国共産党の手先であることが分かる。
韓国の左傾化は危険水位に至っている。左派は司法界をはじめ労働組合、国会、言論を掌握して左右葛藤を誘発、反日感情の刺激と韓米同盟の瓦解工作を推進中だ。
大韓民国が従北・従中の反国家勢力に侵食される非常事態を尹大統領と金国防長官の２人が止めたのだ。この２人がいなかったら、韓国は危険水位の下に沈んだだろう。
トランプ大統領は不正選挙のカルテルを国際テロ集団に指定し、大々的な捜査に着手すると明らかにした。不正選挙の背後には中国共産党が暗躍しているからだ。
特に、韓国の選挙管理委員会研修院に潜伏して国際不正選挙を操作してきた中国人ハッカー９９人が沖縄の米軍基地に移送、一部はアメリカに移送されたという。以上は「スカイデイリー」などで報道された内容であり、かなり信憑性が高い。
尹大統領は決定的な時を待っているものとみられる。トランプ大統領は当選後、尹錫悦大統領との電話会談で、初通話で韓国造船所での米海軍艦艇建造に依頼して米韓防衛産業協力の必要性を強調した。
特に、トランプ大統領は就任式の会場で約５分間、在韓米軍兵士とビデオ通話を通して米韓同盟の重要性を誇示した。一方、トランプ大統領は南部国境の不法入国を遮断するため国家非常事態を宣言、国境に軍隊を派遣した。
中国が韓国でハッキング・電算操作した理由は、中国本土ではインターネット使用が制限されており、韓国選挙管理委員会は検察、警察、監査院が令状捜索、押収、調査が不可能な特別施設だからだ。特に、文在寅政権が設けたＡＷＥＢは、第三国の不正選挙を主導して来た。
韓国は野党の反対で中国スパイ処罰法がない。ＡＷＥＢは中国の一帯一路政策によって、第三国の選挙で親中指導者・親中政党を当選させるようハッキング・電算操作を行った。トランプ政権が中国による不正選挙捜査に着手、近いうちに結果を公開したら国際社会は地殻変動並みの衝撃が起こるだろう。

高永喆（コ・ヨンチョル）
拓殖大学客員教授、韓国統一振興院専任教授、元国防省分析官。著書に『国家情報戦略』（佐藤優共著、講談社）、『金正恩が脱北する日』（扶桑社）など。