米国で２０日（日本時間２１日）、ドナルド・トランプ氏が第４７代大統領に就任した。「米国第一主義」を掲げ、国内産業を保護するため、輸入品に高関税をかける方針を改めて示した。バイデン前政権からの経済政策の大転換に、韓国経済も反応している。
トランプ大統領就任を受けて崔相黙大統領代行は２１日、「関税や電気自動車（ＥＶ）関連など、韓国経済への影響が見込まれる政策について対応策を検討する」と述べ、米新政権の政策が韓国に与える影響に対して懸念を示すとともに、両国関係が相互に発展することを期待した。

　トランプ大統領就任を受けて崔相黙大統領代行は２１日、「関税や電気自動車（ＥＶ）関連など、韓国経済への影響が見込まれる政策について対応策を検討する」と述べ、米新政権の政策が韓国に与える影響に対して懸念を示すとともに、両国関係が相互に発展することを期待した。

ウォンは急変動

　ソウル外国為替市場での２１日の取引では、トランプ大統領が就任式で追加関税を発表しなかったため、開始直後にはウォン高が進んだ。しかし就任式直後に「２月１日からメキシコとカナダに２５％の関税を課すだろう」との発言に一時、１４４２ウォン台前半まで急落したが、韓国への課税に言及していないことから１４３０ウォン台後半まで戻した。２４日には１４２０ウォン台後半に上昇している。
韓国総合株価指数（ＫＯＳＰＩ）では２１日、前営業日より２・０２ポイント（０・０８％）下落した２５１８・０３ウォンで取引を終えた。個別銘柄で明暗が分かれた。

個別銘柄で明暗

　グリーンニューディール政策を廃止し、ＥＶ補助金を終了することから、二次電池関連株は、軒並み下落した。
ポスコフューチャーＭが９・８８％、ポスコホールディングスが４・８０％、ＬＧエナジーソリューションが４・３２％それぞれ値を下げた。
パリ協定離脱の大統領令に関しては、環境エネルギー関連のハンファソリューションが６・３０％、ＨＤ現代エナジーソリューションが３・９０％下落した。
一方で、トランプ政権が打ち出した造船業再復興策への期待から、ＨＤ現代重工業が６・００％、ハンファオーシャンが５・６０％、ＨＤ韓国造船海洋が１・８４％など造船銘柄が上昇した。
「最強の軍隊を再び構築する」とトランプ大統領が宣言したことから、防衛産業関連のネクスワンが３・９３％、現代ロテム３・２１％、ハンファエアロスペースが３・１８％と値を上げた。
２２日は終値２５４７・０６ウォンと反発。２３日は同２５１５・４９ウォン、２４日は同２５３６・８０ウォンで推移した。

生産拠点を移転

　各企業も対策に乗り出している。
現代自動車グループは、米国の現地生産施設の活用を進める方針。昨年末に試験稼働を始めた現代自動車グループメタプラントアメリカを軸に現地生産を増やす。同工場は最大年間５０万台まで生産可能。ＥＶ販売が振るわなければ、ハイブリッド車を増産することで需要に対応する。
ＬＧ電子は関税引き上げが実現した場合、米国内に生産拠点を移転する可能性を示唆している。同社は現在、メキシコでテレビ、冷蔵庫などを生産している。
造船のハンファオーシャンは昨年買収した米フィリー造船所を米海軍艦艇建造事業の重要拠点として活用する。
食品関連では、農心が昨年１０月から、カリフォルニア州で第２工場を稼働させている。ＣＪ第一製糖は昨年１１月にサウスダコタ州に７０００億ウォン（約４億９０００万ドル、約７５０億円）を投じた北米最大規模のアジア食品製造施設の建設計画を発表。ＳＰＣグループもテキサス州に米国初の製パン工場を計画している。
第一生命経済研究所の西濱徹・主席エコノミストは今後の韓国経済の行方について「尹錫悦大統領の戒厳布告を機にした政治混乱や政策停滞で、勢いの乏しい展開が続くだろう。韓国政治、経済ともにトランプ政権の一挙一動に揺さぶられる展開が続く可能性が高いと見込まれる」と分析している。