19日、ソウル西部地裁が尹錫悦大統領に対する逮捕状を交付した。尹大統領が指摘している「不正選挙」問題が政局の最大の焦点となっている。また一部のメディアが報じた「戒厳令当日、中国人スパイ99人が選挙研修院で確保され在日米軍基地に送還された」との主張に注目が集まっている。(ソウル=李民晧)
尹大統領は、昨年12月3日に非常戒厳令を宣言した理由として「不正選挙の真相究明」を挙げた。さらに、自筆で作成した「国民へのメッセージ」でも「不正選挙の証拠があまりにも多く存在しており、中央選挙管理委員会のシステムが非常に脆弱であることが明らかになった」と主張した。
大統領のメッセージは、2023年に国家情報院が「選管委のシステムがハッキングされる可能性がある」と指摘した調査結果と一致している。当時、選管委はこの問題に対し「そうした事実はない」と反論していた。
これに関連し、韓国科学技術院(KAIST)経営大学院の文松天名誉教授は、「選管委内で行われるハッキングや操作の可能性を完全に否定することはできない。選管委は(投票後に)不正が行われなかったことを証明できる逆追跡技術も有していない」と述べた。文教授は韓国内の電算とコンピューター工学における博士第1号であり、「クラウド(CLOUD)」という用語を生み出した韓国データベース分野における権威だ。大統領と国情院、コンピューター工学の碩学が指摘する韓国選挙システムの問題点は「ハッキング可能な不完全性」だ。そのため、「不正選挙」疑惑が後を絶たず、全体の投票システムを「手作業による開票方法」に変更しようとする案が浮上している。
駐韓中国大使館は在韓中国人にデモ参加禁止を通達
韓国の「スカイデイリー」は、取材源が米軍情報筋であることを示しつつ、「12月3日の非常戒厳令当日、韓国軍と米軍が共同作戦で京畿道水原市の選挙研修院を奇襲し、中国籍のスパイ99人を確保した。彼らは米軍に引き渡され、平沢港を経由して沖縄米軍基地に送還された」と報じた。
当該記事を作成した記者は本紙の取材に対し、「取材源に基づく情報であり、事実だと確信している」と述べ、逮捕された中国人が沖縄米軍基地で取り調べを受けていると説明した。最近、駐韓中国大使館は、韓国に滞在している自国民に対し、デモへの参加を禁ずる通達を出しており、この動きも当該事件に関わりがあるものと見る向きもある。
しかし、選管委はこの報道について「事実ではない。戒厳令当時、選挙研修院には研修中の公務員88人と、講師8人の計96人が宿泊しており、戒厳軍は研修院の内部には進入していない」と主張。
一方、連合ニュースの20日付報道によると、在韓米軍側は中国スパイ説の報道について「韓国メディア(スカイデイリー)の記事に言及された米軍に対する記述と主張はいつわりだ」と回答した。
| | 18日午後、ソウル麻浦区ソウル地方裁判所前で抗議集会を開いている尹大統領の支持者ら |