「尹錫悦大統領弾劾騒動」直後、10%以下にまで落ち込んでいた大統領の支持率が、30~40%台に急上昇する中、20代や30代を中心とした若者世代の間でも弾劾に反対する声が高まっている。
(ソウル=李民晧)
尹大統領に対する2回目の逮捕状が公布された直後の11日午後、ソウル龍山区漢南洞の大統領官邸前には、多くの若者たちの姿が見られた。彼らは現場を背景に自撮りをしたり、「2030時代を開こう」「勇気ある若者たちよ、共に戦おう」などのスローガンを連呼していた。
STOP THE STEAL
現場で、目を引くプラカードの語句があった。「STOP THE STEAL(盗むな)」というフレーズだ。2021年、米国大統領選挙で不正を主張していたドナルド・トランプ氏の政治スローガンを引用したものだ。さらには、「不正選挙OUT」と書かれたプラカードや太極旗、米国の国旗などを掲げる人の姿もあった。
前日に大邱から上京したという30代の男性は、デモに参加した背景について「経済的な理由」を挙げた。男性は「産業スパイが中国に韓国の技術を不正な方法で流出させている。それにもかかわらず、民主党は国の経済を崩壊させるような政策を続けている」と強い口調で訴えた。
また、京畿道城南市から来たという70代の男性は「公捜処(高位公職者犯罪捜査処)の大統領に対する逮捕状公布は違法であり、孫の代に共産主義の国を残すわけにはいかない」と主張した。
この日、漢南洞の大統領官邸前に集まった人数について、警察は弾劾反対派を約1万人、弾劾賛成派を約1000人と推計した。一方、同日午後、ソウル光化門で行われた弾劾反対集会の参加者数は、警察による推計で約2万人、主催者発表では約300万人に達した。
これまで政治に無関心だとされていた若者世代が、寒波の中でも集会に参加したことは新たな潮流のうねりを感じさせる。また、この世代による支持が拡大していることも大統領の支持率が上昇した要因の一つではないかとみられている。
与野党の支持率が拮抗
世論調査機関「韓国ギャロップ」は7日から9日にかけ、全国18歳以上の有権者1004人を対象にアンケートを実施した。その結果、与野党の支持率は「国民の力」が34%、「共に民主党」36%で、ほぼ拮抗していた。非常戒厳令の直後には10%以下にまで落ち込んだ尹大統領の支持率だが、「韓国世論評判研究所」が10日から11日にかけて実施した調査では46%まで急上昇していた。同調査で否定的評価は53%で、肯定的評価を上回っていた。
11日午後、ソウル光化門から市庁まで続いた弾劾反対デモ
「STOP THE STEAL」のプラカードを掲げる若者たち
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