千葉県酒々井町の青春ファクトリー(房宰賢代表)は、今年10月から独自ブランド「青春キムチ」の販売を開始。今月16・17の2日間にわたり開催した「日韓グルメフェア2024in熱海」での「キムチグランプリ」で金賞に輝いた。関係者に開発までの苦労や、これからの計画について取材した。
■青春ファクトリー(千葉県・酒々井町)
千葉県酒々井町に拠点を置く「青春ファクトリー」は、房宰賢代表と安康彦専務の2人が中心となり、自社ブランド”青春キムチ”の製造・販売を行っている。
青春ファクトリー本社前で、房宰賢代表㊨と安康彦専務。本社は工場だけでなく店舗としても「青春キムチ」の製造と販売を行う
房代表は、もともと日本のメディアで働いた経歴を持つ。物販・マーケティング分野にも明るく、韓国企業の日本進出を手伝うコンサルティング会社での勤務経験もあり”どのような商品を・どのような戦略で展開するか”によって、ビジネスとしての成功の可否を見極める自信があったとしている。
仲介ではない自らの事業として「何を始めるか」という点で、かねてより韓国人として、魅力あるキムチの開発に携わろうと決めていたと話す。
日本での経験が長い安専務と協力し、”日本で売れ成功できるクオリティーのキムチの開発”には時間がかかった。
開発の見通しが立ってからは迅速に動き、ネットで検索して、たまたま見つけたという今年の「日韓グルメフェア」イベント内での「キムチグランプリ」への応募を決めたという。
■日韓グルメフェア盛況
16・17の2日間にわたり、一般社団法人「日本韓食振興協会」(崔光礎会長)主催の「日韓グルメフェア2024in熱海」が開催、4500人が来場した。静岡県熱海市の熱海梅園で2年続けての開催となった今年は規模を拡大、地元住民や観光客ら多くの来場者でにぎわった。
イベントを主催した日本韓食振興協会の崔光礎会長は、「昨年に比べ多くの人が訪れてくれた。今年7月にMOUを結んだ、慶尚北道亀尾市韓食フォーラム連合会から32人の参加があっただけでなく、東京慶尚南道道民会や民団品川支部など、バスツアーの旅程に今回のイベントを組んでくれた団体が多かったため、遠方からの参加者も目立っていた」としている。
今回のイベントでは韓国人の食卓に欠かせないキムチに関するコンテンツが多く盛り込まれた。その一つは熱海市内の社会福祉法人「緑葉会・陽光の園」の協力により、チョンガク大根を栽培し、収穫した大根を使って「熱海キムチ」として試作品を披露、試食会を行った。
2日間にわたって実施した「第8回キムチグランプリ」の「一般企業部門」では、書類審査を経た全国6社のキムチが並べられ、来場者が試食して決戦投票を実施。「青春カクテキキムチ」を出品した青春ファクトリーが金賞を獲得、エンディングで表彰式が行われた。
■オンラインでの販売も
グランプリで金賞に輝いた房代表は本紙のインタビューに対し、「韓国の最上の味と、日本人が求める味を半々にし、磨き上げて作り出した”青春キムチ”は韓国現地に出しても負けない味だと自負している」と話す。「今年10月に店舗をオープンしたばかりだが、酒々井までキムチを1日3回、朝・昼・晩と購入しに来てくれるリピーターもいる。今回のグランプリに応募してみて、静岡に集まった多くの人々が自分たちの作ったキムチに投票してくれたことに、改めて商品に対する自信を得ることができた。イベントを企画してくれた日本韓食振興協会の皆さんに感謝している」としている。
青春ファクトリーのキムチは酒々井の店舗のほか、千葉県内各地のポップアップブースなどで購入することが可能。房代表は、「日本に拠点を置く魅力を最大限に活かし、オンラインでの本格的な商品展開を今後は予定している」と見通しを述べた。
日本韓食振興協会の崔会長は、「過去のグランプリでも、受賞した企業がその後に躍進を見せてくれた事例がある。青春ファクトリーさんも日本での韓食普及に今後大きな力を果たしてくれることを期待している」と話した。
| | 17日、「日韓グルメフェア」エンディングの表彰式。房代表に金賞の賞状が贈られた |