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最終更新日: 2024-12-17 08:13:42
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2024年11月26日 10:48
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金永會の万葉集イヤギ 第33回

 斉明天皇は永眠した。ところが、その葬儀期間に恐ろしい呪いが宿された。その呪いが分かるためには万葉集13番と14番の歌を解かなければならない。日本書紀などの歴史書には記録されていないことが万葉集には収録されていた。万葉集と日本書紀を組み合わせ解読してこそ歴史が復元できると思う。
中大兄皇子は、母の斉明天皇の遺骸を亡くなった福岡ではなく飛鳥に葬ることにした。天皇の葬地を決めるため中大兄皇子が飛鳥を訪れたとき、皇子は重要な儀式を行った。それは出征軍の勝利を祈願する儀式だった。
ある山に祈った。山そのものが神だった。
その山は古から、女人たちが子供を授けて下さいと願い事をしてきた山でもあった。女人たちは山で火をおこし、蝉の抜け殻を持ってきて厄払いの材料として使ったようだ。このような風習は現代まで伝わっているかもしれない。
中大兄皇子とお付きの者たちも山に願い事をした。皇子は13番と14番の歌に、天気が晴れて(?)、波が穏やかで(波)、戦いで勝利するよう(良)という字を集中的に配置していた。勝ち戦を祈る歌であることが明白だった。
中大兄皇子はこの儀式のため忙しい中でも、都合をつけてその山まで来たはずだ。その山はどこで、呪いは何だったのだろうか。
13番、14番の歌を続けて解読してみよう。古代日本の文化が分かる。日本人の根源をなす文化である。
百済に救援軍を出兵させた中大兄皇子(天智天皇)の切実な思いを察してほしい。また、万葉集の歌々がどれほど恐ろしい呪いの力を帯び得るのか、身震いする歴史を見よう。
13番歌の原文はこうだ。

 高山 波 雲 根 火
雄 男志等 耳 梨與 相諍 競伎
神代從 此尒有良 之古
昔 母 然 尒 有 許曾
虚蟬毛 嬬 乎 相 挌良 吉

新しい解読である。
高い山に雲煙を立てながら火をおこしている。
男たちが山に先を争って祈っている。
神山を代々仰いでいる。
ずっと続いているさ。
続いて。
昔からこの山は女たちが火をおこしながら祈る山なのさ。
蝉の殻から蝉が出るように、偉くなる子が順調に安産できるようにと。
女たちが互いに争うかのように祈る山なのさ。

研究者たちはこの作品を次のように解いてきた。

香具山は 畝傍を愛しと 耳成と 相争ひき 神代より かくにあるらし 古も しかにあれこそ うつせみも 妻を争ふらしき
(香具山は畝傍山を愛おしいと耳成山と相争ってきた。神代よりこうであったらしい。古の昔からそうであったのだから、この世の人も妻をめぐって争うのだろう)

蝉の抜け殻の呪い(万葉集13、14番歌)    
<続く>

2024-11-27 3面
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