北韓の人権問題に対し、韓日米3カ国で協力して取り組むことを目指す市民団体「NKNGOフォーラム」の創立式が15日、都内で約60人が参加して開かれた。北韓住民の人権状況改善を図るとともに、日本人拉致についても国際社会で取り組むべき課題と捉え、解決策を模索していく。
韓日米3カ国が連携
「NKNGOフォーラム」の代表は、秀明大学専任講師のソン・ウォンソ氏が務める。数年前、脱北者から北韓の実情を直接聞き、その惨状に衝撃を受け、北韓の人権問題を国際社会に広く知らせる必要性を感じたことが設立の動機になった。
同フォーラムは、北韓の人権問題を国際社会全体で取り組むべき共通の課題と捉えている。日本の拉致問題についても日本単独ではなく、韓日米3カ国で協力して解決策を考える。
そのため、3カ国の北韓関連団体間の交流と協力を促進するほか、講演会開催などを通じて、国際連携を強化していく計画だ。
■各界から期待と祝賀の声
創立式には各界から祝意が寄せられた。
駐横浜総領事館の金玉彩総領事は、「尹錫悦政権も北韓問題には力を入れている。人権状況改善のため、応援していく」とエールを送った。
「北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会」の佐伯浩明代表理事は、「3カ国が協調して解決を目指す姿勢に共感した。世界の団体とともに北を解放することは、私たちの使命だ」と期待を込めた。
米NGO「北朝鮮人権委員会」のグレッグ・スカラトウ事務総長もビデオメッセージを寄せた。
同フォーラムのソン代表は「多言語で情報を発信するプラットフォームを通じて、北韓人権問題に関する国際的な共感を広げていく」とし、活動のための基本方針として、政治的中立、客観的な報道、北韓住民の人権保護および拉致問題に対する国際的な認知度の向上、国際協力の強化などを挙げた。
初年度の活動計画として、「日本国内の北朝鮮関連団体との交流に力を入れ、人的ネットワークを拡充し、今後の協力の礎を築いていく」としている。
当日は、故安倍晋三元首相夫人で、社会貢献支援財団会長の安倍昭恵氏が特別講演のため登壇。
■特別講演に安倍夫人登壇
安倍元首相の在任中、ソン代表が昭恵氏の通訳を務めていた縁を紹介し、「主人にとって、拉致はなんとしてでも解決したかった問題だった」と語った。
戦後最悪の韓日関係とされた文在寅政権時代については「文大統領夫人とは個人的に仲が良かった。日韓関係がなぜうまくいかないのか、2人で嘆いた」と振り返った。米大統領としてのトランプ氏について「前回の大統領在職時に拉致被害者家族に直接会い、一人一人から熱心に話を聞いていた」と強い関心を持っていた様子を紹介。「メディアを通じてでは分からない、人柄の温かさを感じた」と評価している。同フォーラムの今後の活動について、「北の人権問題には多くの人が真摯に取り組んでいるが、より世間の人に強い関心を持ってもらえるよう、期待している」と述べた。
| | 故安倍晋三元首相夫人で、社会貢献支援財団会長の安倍昭恵氏が特別講演を行った
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