韓国と日本の18歳以下の若年層向けのアントレプレナー(起業家)教育プログラムが、2024年度東京都主催のスタートアップ(新興企業)支援の協力事業として採択された。共通した社会課題を抱える両国の問題解決を図るため、幅広い視点で国を超えた将来世代の人材育成に取り組む。
東京都主催による「多様な主体によるスタートアップ支援展開事業(TOKYO SUTEAM)」の協力事業者として採用されたのはタクトピア(東京都千代田区)。企業、学校、自治体向けにアントレプレナー教育プログラムを提供し、ローカルとグローバルな視点を持つ人材の育成を事業としている。
同社が韓国に目を向けたのは、長井悠社長の発案だった。両国が互いの文化や風習に親しみや敬意を抱いていることと、都市と地方の格差、急激な少子高齢化といった共通した社会課題を抱えているため、交流プログラムを実施することで新たな解決策が得られるのではないかと考えた。
東京都との協定事業に採択されたのは、「日韓グローカル・アントレプレナーシップ・ジャーニー」プログラム。東京都から委託され、タクトピアと同様の事業を行う韓国の「アンダードッグス」、起業家交流プログラムを提供する「ベンチャーカフェ東京」と協力し、事業を進める。
18歳以下を対象に、韓日でそれぞれ最大40人を募集。基礎講座として、2025年2月~26年2月まで、全10回の単発講座を東京で実施。韓国からはオンラインで受講する。
それと並行して25年6~8月まで、ソウルでオンラインで3回、対面で5日間のプログラムを実施。25年10~12月には東京でも同様のプログラムを実施する。
具体的なプログラムの中身について、タクトピアのラーニング・デザイナーである西山哲郎氏は「韓国と日本での対面講座ではフィールドワークを実施する。両国の若者がそれぞれの国の現地の人の悩みを聞くことで問題意識を高め、どんな事業を立ち上げることで解決が図れるのかを考えてもらいたい」としている。
また韓日双方の国で実施することによって、「隣国で似ている部分があるとともに、違う部分もあることで、自らがよって立つバックグラウンドを再認識するとともに、グローバルな視野を広げるのに役立つだろう」とし、「将来起業するかどうかは別にして、自分の将来の可能性を切り開いてもらいたい」と願っている。
韓国と日本の両方にバックグラウンドを持つ在日韓国人の参加については「双方の文化風習に馴染んでいることで、分け隔てなく旺盛なチャレンジ精神で挑んでもらえるだろう」と期待を込める。
タクトピアの長井悠社長は「参加者は国境を越えたビジネス構築の観点とチームワークを身に付けられる。次世代のアントレプレナーを生み出し、持続可能に発展し続けるエコシステムの実現につながると確信している」と述べている。
同社と協力して事業を実施する韓国のアンダードッグスは、「グローカル目線で見た持続可能なソリューションをつくることができるよう支援する」としている。 |