ロシア・ウクライナ戦争への北韓軍派兵に関し、韓国大統領室は、北韓軍の実戦参加の有無は確認中であると明らかにした。北韓内部では、軍将校らに対して携帯電話の使用を禁止し、兵士の家族にも派兵の事実を伏せるなど、北韓住民の動揺を鎮めるべく躍起になっているという。北韓が崔善姫外相をロシアに派遣し「核攻撃態勢の強化」に言及している中、韓国大統領室の対応は慎重なものになっている。
(ソウル=李民晧)
北韓によるウクライナ戦争への派兵直後、大統領室は緊迫した動きを見せており、NSC(国家安全保障会議)の常任委員会をはじめ、さまざまな方面から対策を講じている。大統領室の立場は、先月30日に行った高官によるブリーフィングからうかがい知ることができる。この日、記者と交わされた一問一答の要点は次のとおり。
北韓軍がウクライナ軍と交戦した場合、韓国はウ軍に対し武器支援をするのか。
「現時点では何とも言えない。これまで韓国は、ウクライナ平和連帯イニシアチブにより、安全保障支援、人道支援、復興支援を忠実に行ってきた。武器の支援についても、まずは防衛面の支援について議論するのが妥当だ(韓国は大統領特使をウクライナに派遣する考え)」
1万人を超える北韓軍の役割について。
「(大統領室は、北韓軍の派遣規模を最低でも1万1000人とみている)兵の多くが歩兵となる可能性が高い。ただ問題はロシアの軍服を着て、ロシアの軍体制に組み込まれ違法な活動が展開された場合だ。かつて韓国がベトナム戦争に参戦した際、韓国の軍服を着て戦ったケースとは異なる。北韓が戦争を通じて実戦経験を積み、現代戦の戦術を習得できることは、韓国に対する直接的な軍事的脅威であるとみなしている。これにより、戦況分析チーム(モニタリングチーム)を派遣する必要性が生じるものと認識している」
国家情報院は、北韓が軍事派遣の対価としてロシアから偵察衛星技術を提供されたものとみている。これが事実だとすれば、すでに危険水域を越えたのではないか。
「北韓は昨年5月、軍事偵察衛星の打ち上げに失敗して以降、それを挽回すべく改修・改良された偵察衛星の打ち上げを準備している。成功すれば、偵察探知機能が強化されることになるため、韓国の安全保障においては重大な脅威となる。ロシアと北韓が、核弾頭を搭載したICBM技術、大気圏再突入技術の共有について協議を進めている点については確認されていない」
北韓住民の動揺により暴動に発展する可能性は。
「北韓住民は武力を有していないため、組織的な活動には至っていない。しかし噂はすぐに広まるため、心理的な動揺はありうるとみている」
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