尹錫悦政権は米大統領選挙を前に、「ロシアに北韓軍派兵」説を膨らませ、西欧(NATO・EU)との関係緊密化に出た。一方、ロシアと北韓は戦略的連帯を強化した。米国を射程に入れるICBMを発射、行動をもって見せた。米国の最同盟国だったサウジと韓国の選択が劇的に分かれている。ペトロダラーを支えてきたサウジは「非西欧連合」のBRICSに加入した。反面、尹錫悦政権は、BRICSを警戒する西欧秩序の守護者を自認している。
南・北韓の不信や憎悪を煽るEU
尹政権がキーウ側と西欧の情報工作に踊らされ、絶対多数の韓国国民が反対するウクライナ支援へ傾いている。すでにソーシャルメディアには、韓国のF16戦闘機パイロットがルーマニアのNATO軍基地に派遣されたとの噂が出回る。
韓国の趙兌烈外交長官はジョセップ・ボレルEU外交安保政策高位代表と4日、第1次韓・EU戦略対話を開催、「韓・EU安保防衛パートナーシップ合意文書」を採択。この会合は昨年5月、韓・EU首脳会談の合意によるもので、同パートナーシップは海洋安保、サイバー、軍縮・非拡散、防産など15の分野で協力、両側は「グローバル安保脅威」に共同対応努力を強化することにした。
趙長官とボレル高位代表は「共同声明」で、北韓がロシアに特殊部隊派兵が全世界の安全保障を脅かすと糾弾、北韓軍の即時撤収を促し、北韓の非核化のための具体措置を要求、ロシアが軍事協力に対する対価として北韓に何を提供するかを注視すると言った。
EUとの安保防衛パートナーシップ合意は、モルドバ、ノルウェー、日本に続いて4番目で拘束力のない政治的文書だが、自らの問題も解決できないEUがグローバル安保脅威に対応すると言い、域外に膨張・暴走するのは同意できない。
一方、先月28日、平壌を出発、ウラジオストクを経て30日にモスクワに到着した崔善姫北韓外務相は、北韓は最後の勝利までロシアと共にすると言った。両国が戦略的連帯を協議、確認している最中、ロシアは敵国の核攻撃状況に備えICBM試験発射など大規模な核攻撃訓練を行った。
ロシア国防部は30日、ロシア北西部からカムチャツカ半島に向けヤルス大陸間弾道ミサイル3発の試験発射(現地時間29日)映像を公開した。北韓側も31日、新型ICBM(火星19型)を発射。最大高度7000キロメートルで86分間飛行し、米国全域攻撃が可能であることを誇示した。5日もSLBMを数発発射した。
尹大統領が先月24日、記者の質問に答え、北韓軍のウクライナ戦争派兵と活動の有無によって殺傷兵器の直接供給についても柔軟に検討できると触れた。これに対しロシアは、「極めて危険な道を選ぶな」と警告。国連駐在ロシア大使は4日(現地時間)、国連安保理の「北韓の大陸間弾道ミサイル発射」関連会議で、「われわれはソウルにいる私たちの長年の友人やパートナーたちが、ワシントンの圧力に屈服、独立性を失い自分たちの国益を危険に落としていることを残念に思う」と発言した。
軍隊が同盟関係の国家に派兵、訓練などをするのは普通だ。「北韓軍のウクライナ戦争派兵説」が浮上したのは、これまでキーウ側への兵力派遣を非公開・陰性的にやってきたNATO(米・英)が、韓国の戦時物資で戦争持続を目論み、状況によってNATOの公式、全面介入を正当化させようとする狙いと言える。
ウクライナ戦争の勝敗はすでに明確になった。ロシアはウクライナの戦場で北韓軍を必要としない。ロシアが北韓との同盟条約を批准、活性化させたのは、NATOとの全面戦・世界大戦に備える措置だ。
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