世界の主要メディアは18日、北韓によるロシア・ウクライナ戦争派兵のニュースをトップで報じた。ソースは国家情報院だ。同日、尹錫悦大統領はソウル・龍山の大統領室で「北韓戦闘兵のロシア派遣に伴う緊急安全保障会議」を主宰した。ロシアを信じて暴走する金正恩政権の愚かな挑発行対し、韓国はあまりにも泰然としている。(ソウル=李民晧)
ロシア・ウクライナ戦争への北韓軍派兵をめぐっては、国民の力に所属する国会国防委員会と外交統一委員会の議員全員が北韓・金正恩政権の蛮行を糾弾した。
議員らは20日「北韓はこれまで、ウクライナを侵略したロシアに膨大な数の砲弾とミサイルを売った。さらには、公式・非公式を問わず国際社会の各機関による調査で、自国の兵士1500人余りを先発隊として派遣したことも確認された。金儲けに目がくらみ、侵略戦争に加担し自国の兵士を売る『血の行商』行為を行った」と批判した。
議員らはまた、北韓が主張する南北の「敵対的な2国間関係」の設定と断絶、南北間の道路と鉄道の破壊などといった行為が「北韓軍のロシア派兵に向けたある種の欺瞞的な偽装を演じている」と指摘した。
こうした与党議員による反応は、政府の立場を表しているとも言える。18日、尹大統領が主宰した「緊急安全保障会議」には、大統領国家安全保障室、国防部、国家情報院の要人らが出席した。会議では、北韓軍のロシア派兵と戦争支援情報が共有されたほか、ロシアと北韓の軍事的な蜜月関係が最終フェーズの「派兵」へとつながったことと、それらが及ぼす影響と対策について議論が交わされた。大統領室は「北韓によるロシア派兵の動きは初期の段階から追跡してきた」と述べたが、具体的な時期と情報を入手した経緯については言及しなかった。
派兵規模1万2000人見込む
ウクライナ政府と現地メディアは、ロシア軍が、北韓軍の兵士で構成された特殊部隊を第11空挺突撃旅団内に組織しているとのニュースを報じた。北韓軍を中心に構成されたこの部隊は3000人前後に達する大規模部隊で、ロシアから小型の武器と弾薬を補給されていることも判明した。
部隊の名称は「特別ブリヤート大隊」だ。「ブリヤート」はロシア連邦の傘下にあるブリヤート共和国のモンゴル系人民を指す表現であることから、ロシアが北韓軍を「ブリヤート兵」として偽装する意図があるものと見られる。
国情院では、北韓がロシアに派遣した兵士の数は、特殊部隊要員などを含めると、将来的には1万2000人に達するものと予測している。
ロシアと北韓は、昨年6月に締結した両国間条約(ロシアと北韓が包括的な戦略パートナー関係にあることを確約)を機に、軍事的癒着を強めてきている。
北韓は最近、東海線と京義線の南北連結道路を爆破し、さらには北韓の機関紙『労働新聞』で「戦争が勃発すれば韓国は滅びる」と報じるなど、南に対する脅迫の度合いを強めている。ロシアも最近、露北条約履行に向けて関連法案を下院に提出するなど、北韓の武力挑発を支援している。
今回の北韓によるロシアへの派兵は、韓半島有事の際、ロシアが北韓の援軍となって「軍事介入」することを強く示唆している。これに対し、対抗策や反撃のカードを切る様子が見られないというのが韓国の現状だ。
| | ウクライナ軍情報セキュリティセンターが、ロシア軍から補給品を受け取る北韓軍の様子を収め公開した映像 |