韓国の自動車メーカー最大手の現代自動車は先月、全世界での累計生産台数が1億台を超えた。創業57年での到達で、日本のトヨタ、ドイツのフォルクスワーゲン、米国のフォードなど、世界の同業大手と比べても最速レベルで、韓国メーカーとしては初。同社は電気自動車(EV)、ハイブリッド車(HV)の競争力強化などの中長期経営計画を掲げ、2033年までに120兆ウォン以上を投資する。
累計生産1億台突破を記念し、同社は9月30日に蔚山工場で式典を開催。1億1台目となるEV「アイオニック5」が購入者に引き渡された。
累計生産1億台はこれまで世界でもGM、フォード、フォルクスワーゲン、トヨタ、日産、ホンダの6社しか達成していない。GMは創業56年で1億台に達したが、シボレー、キャデラックなどのグループ会社ブランド合算であり、グループ会社である起亜を除いた現代ブランド単体での到達は、60~70年以上かかった先行他社と比べ早い。
現代自動車は1967年に創業。翌年11月、米フォード「コーディナ」の受託生産を開始。75年には韓国初の独自モデル「ポニー」を量産する。同車種は76年、韓国乗用車として初めてエクアドルなど海外に輸出された。86年には全車種の累積生産台数100万台を突破した。
10年後の96年には生産台数1000万台に到達。グローバル市場攻略を推し進めるため、97年のトルコを皮切りに、インド、米アラバマ、チェコ、ブラジルなどに工場を設置し、2013年には累計生産台数5000万台を達成した。15年に高級車ブランド「ジェネシス」、高性能車ブランド「N」を立ち上げた。20年には「アイオニック5」などのEVの販売にも乗り出した。
技術革新にも取り組んでいる。独自エンジンの「アルファエンジン」を1991年に製造。94年にはプラットフォーム、エンジン、変速機まで核心部品をすべて独自開発した。2011年にはトヨタが世界を席巻していたHVにも参入する。
現代自動車は24年8月に中長期計画「Hyundai Way」戦略を発表した。それによると、30年までの計画として▽23年比30%増となる世界年間販売台数555万台を目指す▽EVを世界年間200万台販売する▽低価格帯・高価格帯・高性能車など全21車種のEVを提供する―を掲げている。他に1回の充電で航続距離が900キロを超えるEVの新モデルを北米、中国で提供するとしている。とくにEVとHVの競争力、バッテリー技術と自動運転車技術の強化を重視している。これらの目標を達成するため、33年までに120兆5000億ウォン(13兆2400億円)を投資する。
張在勲CEO(最高経営責任者)は「数々の難題に果敢に挑戦し、常にイノベーションを追求して急速な成長を遂げることができた。今後も次の1億台に向けて、一歩先を踏み出すことができるだろう」と気持ちを新たにしている。 |