8年前、当時の朴槿惠大統領の弾劾事件が起きた流れが再現される兆しがみられる。「共に民主党」を中心とした野党グループと左派系社会団体、民主労総が結集し、尹錫悦大統領の弾劾を進める動きが活発化している。「10月危機」の兆候は明らかだ。
(ソウル=李民晧)
いわゆるロウソクデモ(ロウソク勝利転換デモ)は9月27日、今国会で共に民主党の姜得求議員の主導で「弾劾の夜」イベントを開催した。その翌日には、民主労総を軸に発足した尹錫悦政権の退陣運動本部、全国民衆デモ、自主統一平和連帯などの極左団体が「尹錫悦政権退陣時局大会」を開催した。イベントには、共に民主党の朴賛大院内代表が登壇した。今月5日には李在明・共に民主党代表が「(任期)満了前であっても引きずり下ろすのが民主主義であり、大義の政治である」と述べ、弾劾の火種に油を注いだ。
このように、共に民主党は明らかに「尹錫悦大統領の弾劾」をもくろんでおり、ロウソクデモ団体もその熱を高めている。
国政監査を利用する野党の思惑
政界では「10月危機説」が浮上している。大統領と政権を批判するのに好機となるイベントがあるからだ。7日から開かれている国政監査だ。野党はさらに、金建希・大統領夫人のブランドバッグ収賄問題などに対する特別検察法の適用を求めている。
最近では、金夫人の政治介入疑惑に攻撃の対象を移している。まるで2016年10月、朴槿惠大統領を弾劾したロウソクデモ当時の「崔順実ゲート」(国政ろう断操作事件)を想起させる。つまり、大統領夫人を実権者に仕立て上げ、尹政権に対する批判を展開しようとする意図が見える。
さらに、共に民主党が多数派を占める国会法制司法委員会は、国政監査に金健希夫人を含め、金夫人の政治介入疑惑に関連し84人を証人として選定した。今回の国政監査を通し、金夫人に関する新たな火種を作り、すでにくすぶっている疑惑を増幅させようとしているのだ。
李在明代表を守る「盾」の役割
野党によるこうした総攻勢は、李在明・共に民主党代表の司法リスクを減じる「盾」としての性格も持ち合わせているようだ。
最近、検察は容疑を否定している李代表の選挙法違反事件と偽証教唆事件について、それぞれ懲役2年と懲役3年を求刑した。公職選挙法違反事件の1審判決は11月15日、偽証教唆事件の1審判決は同25日にそれぞれ予定されている。証拠が多数そろっており、無罪の可能性はほぼないというのが法曹界の一致した見解だ。
政界でも李在明代表の司法リスクが野党の動きに影響を与えていると見ている。
大統領夫人を悪者に仕立て上げることで、大統領弾劾を成し遂げようとしている左派の目論見に、国民はまたも騙されてしまうのだろうか。
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今年1月、ソウルの大統領室前でデモを行う左派系大学生ら |