都立西高校は7月31日、東京都杉並区の同校で、韓国映画『ボストン1947』を鑑賞した生徒に向けた特別授業を開講した。生徒のほか、教職員、保護者、卒業生ら合わせて約25人が参加した。ゲストスピーカーとして、同作品のカン・ジェギュ監督と、ベルリン五輪のマラソン金メダリスト、孫基禎の孫である孫銀卿さんが招かれた。
同授業は配給元のショウゲートが企画。カン監督の来日を機に、同作品のモデルとなった孫基禎の子孫が日本に住んでいることもあり、若い感性を持つ高校生対象のイベントを実施することにした。
事前に生徒らから感想が提出され、それを元に同校公民科の篠田健一郎教諭が、その場で提出者に対して質問を促した。
制作意図について聞かれたカン監督は「以前から走ることをテーマにした作品をつくりたかった。『ボストン1947』のシナリオを提案されたとき、孫基禎ら3人がひとつの目標に向かう過程を描こうと思った」と答えた。
孫基禎について、孫にあたる孫銀卿さんは「祖父は日本によく来ていて、そのたびに会っていた。あまり五輪の話をすることはなかった。高校生ぐらいのとき、聞きたいと思ったこともあったが『そんなこと、言いたくない』と言葉少なだった。今はしっかり聞かなかったことを後悔している」と振り返り、「祖父は亡くなる直前に『箱根駅伝を走りたかった』と言い残した」と肉親ならではのエピソードを披露した。
孫銀卿さんは終了後、本紙に対し、「五輪が開かれるたび、記者や作家からの取材要請に応じることはあったが、高校生の前で話をしたのは初めて。祖父の偉業に関心を持ち、熱心に聴講している姿に感激した」と感想を述べた。
特別授業に参加した生徒とカン・ジェギュ監督(後列中央)、孫銀卿さん(後列左から2人目) |