ウクライナ戦争が西欧中心の国際秩序の再編を決定的に触発した。多極化へと進む過程のこの不安定な状況は、特に自分たちの宿願を実現しようと焦る者らのため今、戦争へと爆発する危険が高まっている。そして、おそらく世界大戦になれば核戦争に至る可能性は高い。主要諸国はどちら側に立つのか選択を強要される。新しく形成される秩序に積極的な姿勢で適応せず、選択を回避するか。現実を否定すれば、新しい国際秩序から孤立し淘汰されるだけだ。もちろん、新しい秩序への適応が国家主権とアイデンティティーの放棄になってはならない。大韓民国は建国以来、全体主義と闘争し、個人の自由と安全を保障する自由民主体制を守護することで、発展し繁栄してきた。これは妥協や譲歩できない価値だ。大韓民国は、国際秩序再編において、いかなる全体主義独裁体制とも妥協できない。
激動の韓半島と変わりゆく世界
東欧で始まったウクライナ戦争が、巨大な津波となり、世界を襲っている。ヤルタ密約によって分断された韓半島も、この津波に巻き込まれた。分断79年、建国76年の大韓民国は同盟を結ぶ米国の要求に応じ、ロシアと敵対する西欧側に立った。尹錫悦政権は、国際秩序の再編に自主的な対応を準備していない。
平壌側は特殊軍事作戦を始めたロシアを早くから支持した。平壌側は、長引く制裁で極度に疲弊した経済的困窮を打開する決定的な機会を、西欧中心の国際秩序の再編、多極化時代への大転換にかけた。
韓半島は、南北韓が共に混乱と葛藤の中にある。野蛮な全体主義の金日成王朝の神政体制、強固な労働党暴圧体制に、チャンマダン(市場)が抵抗し始めてから30年余りが過ぎた。4代目への世襲を目論む金正恩にとって最も恐ろしいのは韓流だ。 核爆弾は作ったが、人民を食べさせられない金正恩が、過去4年間「反人道・反民族・反韓流の3大悪法」(反動思想文化排除法、青年教養保障法、平壌文化語保護法)で人民を厳しく弾圧している。首領神政体制に対してチャンマダンと韓流が抵抗、支配層と被支配層の間で自分たちの未来、運命をかけた闘争が展開されている。
文在寅と一緒に連邦制の推進を宣言した金正恩は、昨年末から、韓国は未来を共にする同伴者・同じ民族ではなく、敵と規定した。南北間のすべての合意と約束を破棄した。韓半島は1953年7月の休戦直後の状況に戻った。
韓半島の南の大韓民国では、ソウルオリンピック(88年)後の「第6共和国」の左傾化が極限に達し、自由民主の憲法体制が崩れている。「民主化勢力」として偽装した左翼、従北・親中勢力が既得権層となって、社会主義への体制変更を推進している。憲法破壊勢力は、違憲詐欺弾劾で朴槿惠政府を転覆し、右派を粛清した。さらに、立法府を掌握して「合法的」に体制変更の革命を行うため、国家保安法とその執行機関である国情院など公安機関を完全無力化し、世論操作と不正選挙を行っている。
内戦の状況で、保守右派が反撃し尹錫悦を大統領にしたが、尹大統領は「国家正常化と法治回復」という右派の念願、期待を裏切り、左翼・反逆勢力の犯罪を捜査、断罪しなかった。大韓民国の検察や司法府まで、いつの間にか、左翼の宿主となって「5・18精神」を云々し法治を麻痺させていたのだ。
周辺国を脅かさない大韓民国
歴史を見れば、どの国でも国力が大きくなれば周辺国を脅かし、摩擦を起こす。大韓民国は建国後、廃墟から眩しい文明史的な発展、成就を成し遂げながら、どの国も脅かさなかった。なぜだろうか。
大韓民国の発展は、戦いながら建設し、建設しながら戦ってきたからだ。つまり韓国は韓半島の内で南北間の対決、葛藤にエネルギーを消費したため、周辺国に脅威を与える余地もなかった。
北韓の場合は違う。金日成王朝は、韓国の赤化統一に彼らのすべての資源を投入した。そして共産革命輸出を名分に軍事とテロリズムを世界各国に輸出した。パルチザン伝統を掲げた国家犯罪、特に核武装で、国際的な核兵器拡散防止に挑戦した。平壌側が国際的制裁を受けることになったのは、金日成王朝の首領たちのせいだ。一方、韓国は国際社会の制裁対象になる理由そのものがなかった。
韓国の今日の政治社会的混乱は、人類社会が普遍的に経験するような混乱とは異なる。韓国の混乱の多くは、世界的な反共の堡塁だった大韓民国の抹殺を目指した共産全体主義陣営の悪辣な攻撃によるものだ。同盟国の怠慢と裏切りも指摘せねばならない。
米国は韓国を助けてきたが、米国の立場や利益と衝突する時は、冷酷に韓国を統制、支配しようとする。特に東西冷戦で勝利、「一極体制」を確立したワシントンは、同盟国までをも同盟ではなく「従属国」のように対することが多かった。「規則基盤秩序」や「同盟」を掲げ、韓国に韓米相互防衛条約を超え、米国の世界戦略に寄与、加担するよう強要した。NATOが起こしたヨーロッパ戦争(ウクライナ戦争)に韓国を引き込んでいる。
ところが、大統領選挙をめぐって内戦状態の米国の現実は、果たして同盟国として韓国の安全保障を守ることができるのか、米国を信頼できるのかと言った根本的な命題を韓国人たちに投げかけている。
政略的な利益のため、自国の国境すら守らず、大統領候補の安全も守らず、選挙の公正さを守らない米国。到底公正と言い難い米国の法治・司法制度も、米国の政策、特に安保面での約束を信頼できなくさせている。
米国の自国中心主義
米国は、持続したくない戦争から抜けたいときは通常、選挙(特に大統領選挙)を利用してきた。終戦を公約した候補が出馬し、その人物が大統領になると、戦争当事者や関連国の立場などは全く考慮(配慮)せず、一方的に戦場から米軍を撤収させてきたことでも分かる。
今回も11月の大統領選挙が終われば、誰が大統領になろうと米国は、国際秩序の再編に積極的に対応するはずだ。
米国は、6・25戦争の終戦宣言を推進すると思われる。金正恩の「韓半島2国家」主張は、米国の6・25戦争終戦宣言を容易にする。韓国は第二のニクソンショックを覚悟せねばならない。
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