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最終更新日: 2024-11-19 12:39:03
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2024年08月15日 04:23
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攻勢かけるパチンコ業界 若年層ファン獲得に注力
イベントで「面白さ」訴求

 パチンコ業界が、若年層ファン獲得に注力している。コロナ禍が収まったことで売上高は下げ止まりの兆しがみられるが、法人数が大幅に減少し、二極化が鮮明になっている。少子高齢化による市場の縮小が続く中で事業環境を改善させるには、集客力の回復を図ることが最も重要視されている。パチンコを楽しまない若年層へのアピールに各事業所・業界団体が工夫を凝らしている。その一方で、中小零細事業者は投資の余裕がなく、苦闘している。
パチンコホールチェーン最大手のマルハンは、2013年3月期の売上高2兆1368億円から8年連続で売り上げが下がり続け、21年3月期には同1兆1055億円まで減少した。一方でコロナ禍のピークが過ぎた22年3月期には1兆2709億円と反転し、24年3月期には1兆4344億円と回復基調にある。
東京など主に関東地区を営業エリアとして運営しているマルハン東日本は5月、「ヲトナ基地プロジェクト」のリアルイベント第1弾として、東京・歌舞伎町でフードフェス「偏愛横丁」を開催した。

フードフェス開催

 同社の事業エリアである1都9県から、各地の特徴を生かした新開発のオリジナルフードメニューが出品された。埼玉県のブースでは、大ヒット映画『翔んで埼玉』の中の「埼玉県人にはそこらへんの草でも食わせておけ」というセリフからヒントを得た、クマザサを原材料とした草アイスが好評だった。
マルハン東日本の宮垣道輝上席執行役員は「3年越しで構想し、ようやく実現した」と周到な準備を経てのイベントとなった。同社では若年層ファンにアピールするため「ヲトナ基地プロジェクト」を立ち上げた。個々人の「こだわり」を尊重しようという意味で、「偏愛」という言葉を用いて、4月からゲーム、アニメ、マンガ、グルメといったこだわりの話題を取り上げたウエブマガジンを公開している。例えば、きのこ好きのライター、堀博美さんはキヌガサタケの魅力を紹介する記事を執筆している。

95%以上が「面白い」

 「偏愛横丁」は10代後半から30代前半の若年層を対象に開催。3日間で5000人の来場を予想していたが、約1万2500人が訪れた。うち20~34歳までが60%を占めた。来場者アンケートでは、95%以上が「面白かった」「とても面白かった」と回答。約80%が「マルハンの印象がよくなった」としている。
予想外だったのは、外国人観光客が多かったことと、来場者のゲーム参加率が高かったことだ。会場内では100円を「1ドパ」というイベント限定通貨に交換して使用するが、ゲームに参加して勝つと、増やすことができる。30%ほどの参加率を予想していたが、40%と上回った。若者のパチンコ・パチスロ離れが言われている中での結果に「もっと早く着手する必要があった」(宮垣上席執行役員)と新たな若年層ファン獲得策のヒントになったようだ。

従業員も士気向上

 今回のフェスは従業員にとっても有用なものだった。「各県単位で、若手従業員に積極的に加わってもらった。自らも楽しんで運営側として取り組んだようで、仕事に対するモチベーションアップになったようだ」(宮垣氏)と思わぬ”副産物”が得られたことに表情がほころぶ。
今後のリアルイベントの開催について宮垣上席執行役員は「季節ごとに年4回は実施していきたい」としている。

学生向けイベント

 学生ファン獲得のため、パチンコ業界各社が22年に設立した全日本学生遊技連盟(学遊連)は、学生チームを募りパチンコ・パチスロ大会「PS:JAPAN」を開催している。全国を10ブロックに分け、実技と知識テストの地方予選を勝ち抜いたチームが、9月に沖縄で決勝大会を戦う。昨年の第1回大会に続く2回目で、優勝チームには奨学金として1人当たり111万円が贈呈される。
現役大学生で学遊連広報の中村ターリック氏は「大会を通じて、若い学生が純粋にパチンコを楽しむ姿をみてもらいたい。パチンコ未経験の人は、一度でいいから体験してほしい」と話している。
遊技業界団体が連携して立ち上げた「KIBUN PACHI―PACHI委員会」は昨年に引き続き、東京・台場の「お台場冒険王2024」で25日まで、スマートパチンコ、スマートパチスロの次世代機を体験できるブースを出展している。
大手、業界団体などは若年層ファン獲得に積極的に取り組んでいるが、中小零細事業者はどうか。
都内で3店舗のパチンコ店を運営している事業者は「事業規模が小さく資金も人手もなく、日々の運営に手一杯で独自の施策を打つ余裕がない」と苦しい経営事情を吐露した。

中小は地道に取組

 パチンコ店コンサルティングを手掛けるエスサポートの三木貴史社長は中小零細パチンコ店について、「機器の選定、店内レイアウト、遊技客に配慮した動線の確保など、奇をてらわず店舗運営をすることが顧客確保につながる」と限られた施策ながらも、地道な集客のための工夫が業績アップに寄与するとしている。

 

1万2500人が訪れたフードフェス「偏愛横丁」=東京・歌舞伎町

2024-08-15 10面
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