米国の単極体制が終わり、国際秩序が激乱に突入した。国々は、国際関係の変化の中、選択を強いられている。それぞれの国家はこの急激な変化の時期、弱肉強食の競争を生き残り、さらに機会とせねばならない。混沌を乗り越えるためには、国家の生存インフラ整備が必要だ。必ず持たねばならないのが安保能力、安保インフラだ。外交であれ軍事力であれ、その基礎となる情報力がなければ無力だ。韓国では最近、安保インフラ強化どころか、情報機関の活動と秘密が露出される場合が頻繁だ。韓国を危機に追い込む中心に、政治、国会独裁がある。
ウクライナ戦争を契機に西欧中心国際秩序は崩れた。
長い間の既得権に執着する西欧とグローバルサウスの葛藤は持続、拡大するだろう。この葛藤の時代に、韓国は危機管理、生存のための目と耳、脳と免疫システムが正しく機能しているのか。危機を管理する国家の司令塔は機能しているか。
執権以来、法治回復と国家正常化を放棄した尹錫悦政権は、安保インフラの整備に関心などない。
尹政権は、国民たちが金正恩と連邦制を宣言した文在寅を与敵罪、反逆罪、内乱罪などで告訴告発したことを全く捜査しなかった。板門店で金正恩に直接USBを渡したスパイ事件(2018年)も処罰していない。
尹大統領は逆に、反逆・利敵勢力と妥協を模索してきた。左翼政権の反逆を捜査しなかった法務部長官の韓東勳は現在、与党の代表となっている。韓国の安保基盤が危険になったのは、尹政権の怠慢が最も大きい。国家が必ずやらねばならないことをやらないと、必ずやられる。
尹政権は米・日との関係修復を掲げてきたが、最近公開された韓国系米国人の「スミ・テリー事件」は、米当局が韓国をどれほど警戒、監視するかを示した。
そもそも国家のアイデンティティーと体制は、憲法が明確に宣言、提示している。大韓民国憲法は、1条(民主共和国)、3条(領土条項)、4条(自由統一)、5条(国軍)などを通じて自由民主体制を宣言している。この自由民主体制を守る法的装置は国家保安法だけだ。そして国家保安法が付与した任務を遂行する国家組織が情報・公安機関だ。
ところが振り返れば、韓国の「民主化勢力」は、憲法を軽視、蹂躙してきた。特にソウル五輪後の第6共和国のすべての政権は「民主化」を口実に国家情報機関の力量と活動を競争でもするように政治的に縮小させてきた。特に、左翼政権は過去事真相調査など名目で国情院など情報・公安機関を徹底的に無力化した。
偵察衛星など国防力には投資したが、いざ収集した情報を分析し融合する能力をはじめ、秘密を守る防衛能力は決定的に後退した。国情院の防諜捜査能力を奪い、検察の捜査権まで制限、剥奪してきた。国家的自害、自殺行為だ。主思派・従北勢力が掌握した国会が、大韓民国の生存機能、免疫力を決定的に殺している。
情報司令部要員の身元情報が流出して防諜当局は関連軍務員を調査している。北側に包摂されたなら対共捜査事案だが、国情院は対共捜査権がない。文在寅政権が対共捜査権を奪った。この状況で従北勢力が中心の李在明党の議員11人は、安保犯罪に関する国情院の調査権まで剥奪する内容の国情院法改正案を提出した。
尹政権と与党は、自由民主体制を守護する意志がない。愛国者たちが自由を守る内戦に出るしかない。
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