貿易によって経済発展を遂げた大韓民国。多くの産業が高度成長を果たす中、金融業は海外進出が軌道に乗らず低迷している業種として挙げられる。依然として多くの銀行がグローバル事業で苦戦を強いられている中、いち早く海外展開に乗り出した新韓銀行(以下「新韓」)の躍進が際立っている。新韓は、韓国の全銀行業界における海外黒字のうち54%を占め、圧倒的な存在感を放っている。
(ソウル=李民晧)
海外純利益で圧倒的首位
昨年末時点で韓国5大銀行における本社直営の海外支店数は計62カ所だ。
最も多いのはハナの19カ所で、新韓とウリィがそれぞれ14カ所、KBが9カ所、NH農協が2カ所だ。支店、事務所、出張所などのネットワークを合わせると、KBが642カ所で最多となり、ウリィ(469カ所)、ハナ(197カ所)、新韓(170カ所)、NH農協(11カ所)の順となる。
しかし、実績とネットワークの数が比例しているとは限らない。ネットワークでは最多となるKBの場合、インドネシア市場での大赤字により純損失234億ウォンを記録。NH農協も19億ウォンの損失を計上し赤字となった。
韓国5大銀行のうち、海外の子会社が最大の利益を上げたのは新韓だ。昨年は4820億ウォンの純利益を叩きだし、前年(4270億ウォン)を上回る好成績を収めた。また、ウリィは3320億ウォン、ハナは1050億ウォンの純利益を上げた。これを踏まえると、新韓は韓国国内銀行の中で海外に黒字分の54%を占めていることになる。
ベトナム法人が好調
新韓は日本、ベトナム、中国など10カ国で海外法人を展開している。海外法人のうち、純利益貢献度が最も大きい地域はベトナムだ。昨年における新韓ベトナム銀行の純利益は2328億ウォンで、2020年(1206億ウォン)に比べ2倍近く増加した。徹底した現地化戦略に加え、母体である新韓銀行本店の戦略を現地の実情に合わせてカスタマイズしたことが成功の要因として挙げられる。
SOLモバイルバンキングや金融商品の多様化も、グローバル事業が躍進する上での原動力だ。
こうした努力により、新韓の海外法人が24年第1四半期に計上した純利益は1401億ウォンで、前年同期比約8%増加した。
丁相赫頭取は15日、海外法人の理事会メンバー及び海外支店長などと「グローバルカンファレンスウィーク」を開催し、海外事業の戦略方針について議論した。将来を見据えた新韓銀行の幅広いビジョンと取り組みに期待する。
15日、新韓銀行本店で開催された「グローバルカンファレンスウィーク」のもよう
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