トランプ狙撃に関連する疑惑が続く中、バイデンが21日、再選挑戦への撤退とカマラ副大統領支持を宣言した。11月の米大統領選挙は、選挙不正がなければ政権交代は確実に見える。大統領選挙を注視する各国も政権交代を既定事実と見て、これに備え始める雰囲気だ。トランプが当選すればウクライナ戦争はもちろん、NATOの将来そのものが極めて不透明になる。バイデンの要求に全面呼応してきた尹錫悦政権は、2年以上の外交努力が徒労になる状況に備えねばならない。
トランプ狙撃事件は、FBIがトーマス・クルックスの単独犯行と発表したことを覆すような疑惑が相次いで暴露されている。射殺された狙撃犯が海外に暗号化された口座を3つ持っていたという。これらの疑惑を解明しないと、トランプ排除のテロは続くだろうと思わざるを得ない。
トランプが副大統領として指名したバンスに対して彼が果たしてトランプと同じ路線の政治家なのか疑問が提起され始めた。民主党大統領候補がカマラ・ハリス副大統領に最終確定するかは分からないが、これまでに募金した選挙資金はカマラだけが使用できる。
トランプ当選の可能性が高くなったことで、国際秩序が揺らいでいる。米国は、困難な戦争から手を引くときは、歴史的に選挙・政権交代を利用してきたことを世界中が知っているからだ。トランプ側は内外政策の根本的かつ広範な転換を宣言している。
トランプはNATOの根本的な改造を求めてきた。トランプは台湾に対してももっと多くの国防費、つまり米国産武器の大量購入を要求した。トランプはまた韓半島での単一国家を拒否した平壌(金正恩)を相手に大胆な接近に乗り出し、露北同盟の分断に乗り出す考えを公開的に表明した。
トランプの当選を現実として認め始めた西欧(EU)は、政権交代に適応する態勢に入っている。西欧がロシアを軍事的、経済的に敗北させられないのは明確だ。ロシアとの協商を禁ずる法まで作ったゼレンスキーも、絶望的な戦況と米国や西欧の見限りに直面してロシアとの交渉を模索し始めた。ロシアの苦戦や、トランプへの誹謗中傷ばかり伝えるプロパガンダ手段だった西欧のメディアも、NATOの敗北に備え戦況報道態度を修正し始めた。
米国の政権交代と関係なく、西欧中心の国際秩序とそれを打破しようとする露中を中心としたグローバルサウスの対立は妥協できない。NATOの対ロシア敵対戦略は1994年、ウクライナとバルティック諸国に対するクリントン政権の欧州安保に関する文書に適示された。この文書はNATOが、ウクライナとバルティック3国を支援、ロシアがこの諸国を灰色地帯かロシアの服属国にしないよう特別に努力せねばならないと記されている。NATO(米国)がこの戦略を完全廃棄しない限り、ウクライナ戦争終結どころか、核戦争は避けがたい。
ロシアのラブロフ外交部長は、国連安保理の順番議長国として16日、ロシアの立場を明確にした。ラブロフ外交部長は、国連憲章25条(国連加盟国は安保理の決定をこの憲章に従って受諾し履行することを同意する)より、米国の規則がもっと重要視される慣行を痛烈に批判した。ロ・中は連合してアジア太平洋に拡張を図るNATOに対抗する。世界人口の40%が加入したブリックス諸国の国会代表団がサンクトペテルブルクで多極化体制への実践方案を討議した。
昨年10月からハマスとの戦争ですでにガザ地区住民の30%近くを殺傷したイスラエルのネタニヤフ政権は、米・英の支持を頼りに核使用を仄めかしながら拡戦を目論んでいる。トランプが当選すれば核戦争を回避するのか。
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