先月から今月中旬にかけて、韓国をテーマにしたオープンキャンパスや各種イベントが、日本全国の大学などで開かれている。大阪・東京・千葉の3校の取り組みについて、多様化する韓日学生交流の最先端の現場や課題を取材した。
語学やエンタメ、留学も
本格的な夏の到来に先立ち、先月から今月の中旬にかけて、全国の大学などで多くのオープンキャンパスが開催している。その中で韓国人留学生が在籍し、生徒らが中心となって母国について語るといった場合もあれば、教員が同様のことを行う場合もある。
規模の大小を問わず、北は北海道から南は福岡まで、日本全国の高校や大学などで多くの韓国関連のイベントが開催されている。3校の取り組みについて紹介し、コロナ明けや韓日関係の改善後に表れてきた変化について考えたい。
■在日学生集う大阪観光大
大阪観光大学で先月23日、韓国を身近に感じられるプログラムを多く盛り込んだ「韓国オープンキャンパス」を開催。高校生やその保護者、大学関係者50人が会場に集まった。
はじめに山田良治・大阪観光大学学長と、小槻文洋・同大学観光学部教授が主催者あいさつを行い、韓国人留学生によるプレゼン発表や留学体験インタビューが続いた。入試対策や模擬授業、保護者向け説明会だけでなく、ダンス講座やランチで韓国文化を体験した。
同大学ではオープンキャンパスに先立ち先月17~21日に、外国人留学生の母国の文化に触れるイベントの一環として「韓国Festival」を開催。中でも18日は韓服の試着やKフード試食、韓国伝統遊びなどを体験できるプログラム「韓国Special Day」を、神戸韓国教育院の協力で行った。韓国の聖潔大学と提携し、コロナ明けから交換留学が本格化している。在校生には外国にルーツを持つ人や、韓国現地から入学する学生が多いという。
■K文化学ぶ戸板女子短大
(写真中央)メイクを担当している韓国高麗人蔘社の李圭敏さんの授業はオープンキャンパスでも人気を博した(戸板女子短期大学提供)
都内の戸板女子短期大学で先月30日、オープンキャンパスを通じたイベント「韓国フェア」を開催。来場した高校生やその保護者、学内関係者ら120人が参加した。
戸板女子短期大学は、語学・Kビューティー・フード・ファッション・エンタメ・ビジネスなど”韓国を学びつくす学校”といわれている通り、K文化を全般的に学ぶことができる稀少な学校。韓国の誠信女子大学と提携しており、2年の課程を終えてから留学できる道も用意されている。当日は高校生や保護者向けの講義・体験・ランチなど各種のイベントが盛りだくさんで、参加者の満足度が高かった。保護者が寄せた感想の中で「美容専門学校とどちらに進むか悩んでいる」との声が聞かれるなど、話題の韓国コスメまで授業で学べるという付加価値は非常に大きい。
■神田外語大コリアフェス
千葉県の神田外語大学ミレニアムホールで15日、一般社団法人「リベラルアーツ学術院」(朴ジョンヨン代表理事)の主催により「KOREA FES」を開催。神田外語大学の学生やスタッフ、公募された高校生ら、約100人が会場に詰めかけた。
文ミラ講師のK-POPダンスレッスンは会場と一体となり、参加者の飲み込みも早かった
第1部では、はじめに宮内孝久・神田外語大学学長と、豊島悠果・同大学アジア言語学科教授があいさつを行った。続いて、権容奭・一橋大学大学院法学研究科准教授による特別講演「文化からみた日韓関係オルタナティブな可能性」を開催。また、日韓学生未来会議(JKSFF、一般社団法人「日韓経済協会」傘下団体)所属学生が登壇し、参加した大学生・高校生らとグループディスカッションを行った。
第2部では、韓国からスペシャルゲストとして招かれた文ミラ・チュムナダンスカンパニー団員が講師を務め、初・中級者向けのKPOPダンス特別レッスンを行った。参加した高校生・大学生らは文講師の指導により、ダンスの振り付けを習得した。短時間の指導にもかかわらず楽曲のワンフレーズを全員が踊りこなせるようになるなど充実した時間を過ごした。
コロナ中の巣ごもりなどの影響で、Kコンテンツ需要は世界規模で拡大した。関係改善を受けさらに地政学的な好条件も働き、韓日学生交流の機運はより高まったといえる。大学など教育機関が関心の高い学生を募り、よりよい条件での留学支援に踏み出している点も重要だ。
韓日の学生が自国だけにとどまらない交流を広めていく未来に期待を寄せたい。 |