ロシアと北韓が「包括的な戦略的同伴者関係に関する条約」を結んだ。理念と体制を異にする露北同盟を魔術のように復活させたのは米国だ。ロシアに対するアングロサクソンの盲目的な憎悪が生み出したウクライナ戦争(特殊軍事作戦)は、憂慮した通り巨大な津波となり、韓半島・東アジアに波及した。米国(NATO)はウクライナ戦争を「民主主義対全体主義の戦争」と強弁。バイデン政権は韓国をウクライナ戦争に引き込むため、執拗に韓国世論の操作に努めてきた。
尹錫悦政権は、ロシアに対して憤怒を表し、報復を言いはじめた。だが、ロシアに反発し「報復」でウクライナの支援に出るように、韓国をこの苦境(死地)に押し込んだのはワシントンだ。韓国がロシアに怒り、ウクライナ戦争に武器を提供、参戦すれば米国の奸計に陥るだけだ。憤怒も報復も、韓国の安保利益をもたらさない。
露北条約の第2条(前略)「双方は、全地球的な戦略的安定と公正で平等な新しい国際秩序の確立を目指し、相互緊密な意思疎通を維持し、戦略戦術的協同を強化する」は、「規則基盤秩序」の破綻を象徴する。怒りと報復は、韓国の安保対策になり得ない。すでに生じてしまった事態を冷静に賢く収拾せねばならない。尹政権がウクライナを支援するのは、憲法5条への明白な違反といえる(憲法第5条(1)大韓民国は国際平和の維持に努め、侵略的戦争を否認する)。国連憲章にも反する。また、韓米相互防衛協定の趣旨と条文のどこにも大韓民国がウクライナ戦争を支援すべき根拠がない。
米国は自国の利益を犠牲にして同盟を救う国でない。ベトナム戦争の時、大韓民国は1個軍団の兵力(5万人)を派兵し米国と共に戦ったが、ニクソン大統領はベトナム戦争から米国が撤退するとき、韓国と事前協議や通告どころか、韓国軍を置いたまま先に撤退した。韓国の安保が極めて危険なとき、駐韓米陸軍2個師団のうち1個師団を撤収させた。ニクソンとキッシンジャーは朴正煕大統領の自主国防努力も監視、牽制し、あらゆる手段を動員、朴大統領を強迫し韓国の核開発を阻止した。
尹政権は、そもそも国際秩序の変化など見ないで、韓米関係や韓日関係の回復だけを叫び、ワシントンの意志に従って動いた。友人を死地に追い込むのが友人か。
今の米国は、韓国を保護する考えも、能力もない。米国は今、遠征戦争ができない国だ。フーシ派から紅海も守れない米国が、韓半島で北・中・露を相手に戦争ができると信じられるか。
ペトロダラー体制はすでに基盤が崩れた。多極化の世界は避けられない。ASEANでは、マレーシア、タイ、ベトナム、インドネシアがBRICS加入に動いている。西欧はウクライナでの敗北を認めず、多極化への世界秩序の改編を止めるため、戦争拡大・核戦争も辞さない。
西欧が人類共滅を意味する核戦争を辞さないのは、非核の総力戦ではロシアや中国どころか、グローバルサウスにも勝てない現実を知っているからだ。バイデン大統領は、実はウクライナ戦争勃発直後に米軍の核先制攻撃戦略をすでに承認した。
韓国が核戦争を含む世界大戦で、なぜテュルキエすら脱退しようとするNATOの代理軍(消耗品)になるのか。韓国は「望まない戦争をしない権利」「韓半島を戦場にしない生存権」を守らねばならない。韓国は他国の強迫に屈服しないためにも直ちに独自の核抑止力を持たねばならない。かつて韓半島の北側にスターリン主義を移植し、衛星国家を作ったロシアは、共産全体主義体制を克服した。今は北韓の変化を牽引してくれることを望む。
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