11日、韓日のアムネスティ・インターナショナルが共催して、北韓の人権危機を糾弾する会合をハイブリッド形式で開催。会場となった参議院議員会館の会議室に50人が来場、オンラインでも80人が視聴した。
はじめに、アムネスティ韓国の崔在勳マネジャーが登壇、「北韓人権改善のための国際アムネスティ韓国支部の活動」と題してプレゼン発表を行った。
北韓で使われているスマートフォンは、見た目は変わらないがインターネット機能が備わっていない
1990年代には、北韓から韓国入りした脱北者から得た情報を頼りに、日本の人権活動家とも呼応して人道犯罪など、北韓の政治体制を糾弾する活動を続けていた。2014年から23年まで、インターネットを通じた衛星写真の解析などによって強制収容所で行われる人権蹂躙をデータ化する作業を行っていた。
崔マネジャーは近年の心配事としてコロナ以降、国際社会の北韓人権問題への関心の低下が深刻になった点を挙げている。北韓の99%以上の住人が日常的にインターネットを使用できない状況にあるということについて、改めて問題提起した。
安明哲NORTH KOREA WATCH事務総長は、かつて自身が脱北して韓国入りした経験について語った。北韓の咸鏡南道でエリートの家庭に生まれ不自由なく暮らしていた安さんは、完全統制区域と呼ばれる収容所の内部で囚人を管理する側の仕事に就いた。講演の最中、自身が当時行った行為に対する罪悪感を述べる場面もあった。
両氏は、質疑応答の場で現在の北韓の政治体制に対する所感を述べた。同様の会合は神奈川・東京・愛知・大阪で10~13日の4日間開催し(オンライン視聴は東京のみ)、約250人が両氏の講演を聴いた。
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21日、北朝鮮の強制収容所をなくすアクションの会・NO FENCEが主催してオンラインセミナーを開催。転換期正義ワーキンググループ「TJWG」に所属する法律アナリストの申熙石さんが講師を務めた。
2014年に国際刑事裁判所(COI)が提出した報告書によって北韓人権問題が国際社会で明らかにされてから、この10年間の推移について説明。申さんも、近年の深刻な事態として、もともと低かった「北」人権への関心がウクライナや中東での戦争によって薄らいでしまった点を訴えた。また、北韓の内部で収容所に入れられて処刑などが行われても、外部には情報が伝わらない点も大きな問題としている。 |