KPOPが世界を席巻しているが、その発端は1990年代後半の金大中大統領時代の「クールコリア」戦略にあるという。一方で日本が誇れるコンテンツは漫画やアニメだろう。韓国では98年から日本文化開放が進んだが、それ以前の日本作品は人名や地名を韓国語に置き換えていた。日本では2010年頃から「クールジャパン」を唱えてはいたが、コロナ禍で『鬼滅の刃』が世界的なヒットを遂げ、韓国でも話題を呼んだ。近年は『SLAM DUNK』の映画版が韓国でも大きな人気を集めた。
東京のサブカル文化の発信地といえば、秋葉原だ。日本屈指の電気街があるこの街ではコンピュータや電子部品が売られ、アニメ・ゲームのショップやメイドカフェも人気がある。近年は池袋にもサブカル街のイメージが生まれているが、それには専門店街「乙女ロード」やニコニコ動画の本社の存在があり、23年秋には東京都によるアニメ東京ステーションが開業した。
龍山駅前
秋葉原はソウル・龍山に例えられる。駅北西の電子商街にある各棟ではスマートフォンやPCパーツなどを売る小規模店を中心に商う。龍山駅ビルのI〓PARK mallは、映画館などがある商業施設で、6階の玩具フロアにはアニメイトやTAMIYAなどが入店する。催事場や駅前広場では『ドラえもん』や『クレヨンしんちゃん』など日本発のキャラクターイベントもしばしば行われてきた。そんな龍山に続く場所をあえて挙げるならば、若者の街・弘大だ。数年前までは大学近くで『ONE PIECE』の公式カフェが営業され、駅前のAK PLAZA内には漫画専門書店のプッセトン文庫があり、現在はアニメイトと合併して営業を続ける。
また明洞から南山へと続く道に「チェミ路」というアニメ通りが形成され、ここには子どもたちに絶大な人気を誇る”ポロロ”や”Larva”などの人気キャラクターが道に散りばめられている。
韓国ではガンダムの人気も根強く、”ガンプラ”を趣味とする人もいる。公式ショップの”THE GUNDAM BASE”は龍山駅ビルのほか、韓国国内で10店舗を営業する。また韓国からの観光客は東京・お台場のガンダム像にも訪れる。ちなみにガンダム像は映像制作会社が近くにある杉並区の上井草駅前にも置かれている。
秋葉原駅
訪日韓国人客にはアニメの聖地探訪を目当てにする人もおり、都内では新海誠監督作品の『君の名は。』に登場した新宿区の須賀神社の階段もそのひとつだ。三鷹のジブリや練馬の東映によるミュージアムも挙げておこう。近郊エリアで特に人気なのは『SLAM DUNK』に登場する江ノ電の鎌倉高校前踏切である。これは余談だが、主人公の桜木花道が通う湘北高校の校舎のモデルは武蔵野市の都立武蔵野北高校だという。
韓国発の漫画はオンラインで読む”Webtoon”が伸びている。日本でも「ピッコマ」や「LINEマンガ」などのアプリで読まれ、その裏方では日本の韓国語翻訳者たちも活躍する。00年初頭のWebtoon黎明期に人気作家となったKang Fullの作品は、江東区の江東駅近くの住宅街に壁画として描かれ、名所になっている。東京で街が漫画で名所化したのは葛飾区の亀有駅周辺で『こちら葛飾区亀有公園前派出所』の登場人物のオブジェが街に点在する。一時期は韓国語版も出たが、そのほか『BLEACH』や『進撃の巨人』など多数の日本のコミックはソウルの書店にも並ぶ。
近い将来”Webtoon”が日本の漫画を追い抜くとも言われるが、双方を含む電子コミックの市場自体は好調だ。日本発の漫画・アニメ文化はすでに世界的に広まっており、根強いファンは多い。今後の展開の仕方次第ではあるが、それぞれの発展を願いたい。 |