北韓の人権向上に向け、30年間活動してきた小川晴久東京大学名誉教授が第3回「勿忘草人賞」を受賞した。北韓人権市民団体「勿忘草」(朴宣映理事長)は毎年、北韓の人権向上に向けて10年以上献身した個人や団体に加え、国軍捕虜や拉致被害者の救出に尽力した人に対し勿忘草人賞を授与している。
小川名誉教授は、1994年に日本で「北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会」を創設、2008年には北韓の政治犯収容所の廃止を訴える「No Fence(北朝鮮の強制収容所をなくすアクションの会)」を創設し、現在も代表として活動している。韓国で北韓の人権運動団体が結成されたのは、それから2年後の1996年だった。
小川教授は、かつて在日同胞の北送を支持していた時期もあったという。そんな教授の考え方が変わったのは1993年8月、東京の某飲食店で開かれた「北朝鮮帰国者の会」。この集会で、店の女性オーナーが「北送船に乗った三人の息子が政治犯収容所に連行され、苦労したあげく、一人は亡くなったという話をかなり後になって知った」と語った。また、その場にいた別の女性は「兄が政治犯として逮捕され死亡したことを知った後、朝総連に2000万円を提供して兄の妻を救出した」などと証言。小川教授はこれらの証言に衝撃を受け、北送された人びとの日本側家族へのヒアリングを始めた。それから1年後に誕生した組織が「守る会」である。
勿忘草人賞は、ポーランド生まれの北韓人権運動家ヨアンナ・ホサニャックさん(第1回)、チェ・ソンリョン拉致被害者家族会会長(第2回)に続き今回、日本国籍者として初めて小川教授が受賞する運びとなった。
(ソウル=李民晧) |