世界がうらやむ韓国のサービス産業
韓国は、世界が羨望の眼差しを向ける「親切」な国となった。率先して顧客に手を差し伸べるサービスや、社会と共に歩むという企業文化はもはや日常になっている。気がつけば「日本式」という言葉は姿を消してしまった。「親切」と「奉仕」が韓国固有の文化として認識されているのは、隔世の感といえるだろう。
このように社会の変化を導くことは相当な時間を要する上、数字として現れることもない。「気持ちの良い韓国社会」を作ろうとする在日同胞の努力がなければ、現在も韓国のサービス産業は低迷を続けていたかもしれない。
新韓銀行とロッテ百貨店が今なお目指すマインドは「顧客が満足いくまで」だ。顧客への対応の速さは、充実したサービスで有名な日本をしのいでいる。1970年代から本格化した在日同胞によるサービス業は、その後も進化を遂げていった。80年代から90年代にかけては、競合他社もサービスを模倣し始めた。こうした動きが広がり、やがて韓国は「サービス競争社会」へと変化していった。今日、韓国のサービス文化やスピーディーな対応は、世界中どの国も追随できない韓国企業の競争力の礎となっている。
在日同胞10億ドル、外国人9・3億ドル
一方で今日、在日同胞の母国投資総額に関する明確なデータはない。経済開発初期の段階から政府が集計していたデータは不十分だった。数少ない政府データの中で注目すべきものがある。1981年、在日同胞系の4団体(投資協会、民団、韓商連、韓信協)が「同胞銀行」設立請願書を提出する際に引用した財務部のデータだ。
当時の財務部の調べによると、65年の韓日国交正常化から77年までにおける在日同胞の母国投資総額は10億ドルだった。これは同期間、外国人が韓国に直接投資した9億3700万ドルを上回る規模だった。これを裏付ける在日同胞の経済力に関する記録も残っている。
「銀行設立当時、在日同胞が日本で経営または所有していた会社を数えると1万社余りに達する。これら企業の年間売上高は総額10兆円、総保有資産は70兆円に達するものと見込まれている」(『新韓銀行15年史』)
その後、80年代から2020年代にかけ、在日同胞の母国投資企業や本国投資協会会員企業が韓国経済の発展に貢献した実績は、1977年度のデータと比べると数十倍にも数百倍にも及ぶといえる。
それらを裏付けるデータが、同胞投資企業の従業員数だ。金融監督院によると、協会会員企業・ロッテグループの従業員数は、公示された系列企業10社だけで4万8000人に達する。新韓金融グループも銀行やカード、証券、保険など関連各社の従業員数を合わせると3万人に及んでいる。これに従業員の家族や両社のパートナー企業などを合わせると、公表された従業員数の少なくとも5倍以上、つまりは40万人以上の人々がロッテと新韓の恩恵を受けて生活していることになるのだ。
これらの規模感をリアルに認識できるデータがある。韓国で最も高いビル「ロッテワールドタワー」の建設に参加した関係者は、600万人に達する。この事実だけをみても、一企業が国家経済にどれだけ大きく貢献しているかを示している。 (ソウル=李民晧)
<了>
|