北韓のIT技術者に業務を発注するため虚偽の企業登記をしたとして、神奈川、広島両県警は3月27日、電磁的公正証書原本不実記録・同供用容疑で、IT関連会社「ITZ」(広島県府中市)社長で韓国籍の広島市南区、朴賢一と、元従業員でIT関連会社「ROBAST」(同福山市)代表の蓑毛勇郎の両容疑者を再逮捕した。
両容疑者は2021年10月、ROBAST設立時に、資本金を300万円とする虚偽の登記申請をしたとされる。両容疑者は3月6日、失業手当を不正受給したとして、詐欺容疑で両県警に逮捕されていた。
神奈川県警によると、同社は事業マッチングサイトを通じ、国内企業から安価でアプリ開発などの業務を受注。中国滞在中とみられる北韓IT技術者に仕事を発注していたという。同県警は朴容疑者が北韓の外貨獲得活動を担当する人物と関わりがあるとみており、報酬が北韓に流れた疑いがあるとみて調べている。
北韓のIT技術者をめぐっては、警察、外務、財務、経済産業の4省庁が3月26日、日本人になりすまして国内企業からアプリ開発などの業務を受注している疑いがあるとして、企業側に注意を呼び掛けた。北韓に資金が流れることを認識して業務を発注すれば、外為法などに抵触する可能性があると警告している。日本が北韓のIT技術者に関わる注意喚起をするのは初めて。
北韓のIT技術者は外国で身分を偽って仕事を請け負い、報酬が北韓の核開発などに充てられていると国連から指摘されている。
警察庁によると国連加盟国の報告で、北韓のIT労働者は北韓国内に約1000人、国外に約3000人いると推定されている。国外のうち多くは中国で、ロシア、東南アジアにも在住しているとみられている。稼いだ報酬は年間2・5億~6億ドル(約375億~900億円)に上るとみられ、北韓本国に送金されているといわれる。 |