昨年、韓国を訪れた日本人観光客は約232万人で、中国を抑えトップに躍り出たことは記憶に新しい。2023~24年を「韓国訪問の年(VISITKOREA YEAR)」にしようとキャンペーンを展開する韓国観光公社は、ゴールデンウイーク期間中の日本人観光客誘致のためのイベントを福岡・東京で開催。その狙いと背景を探った。
課題は若年男性の獲得
先月23・24の両日、会場に設置された韓国観光公社のモニュメントが目を引いた
先月23・24の両日にわたり、東京・恵比寿ガーデンプレイスで「KOREA旅フェスティバル2024~韓国への一歩in Tokyo」を開催。韓国観光公社が日本各地で展開する「旅フェスティバル」の一環として、同様のイベントが同20日に福岡で開かれたほか、5~6月には札幌・名古屋・大阪での開催も企画されている。
今回の福岡・東京のイベント開催はゴールデンウイーク(4月27~5月6日)の期間中、訪韓日本人観光客誘致を目的にしている。札幌・名古屋・大阪での行事はゴールデンウイーク明けの開催となる。
いずれのイベントも、韓国旅行を宣伝するために人気俳優やアーティストによるKPOP公演や舞台を目玉として、各道の自治体から観光案内スタッフが派遣されているほか、キッチンカーや屋台などによる韓食ブースを充実して、集客を図っている。
また、今年は世界25都市で開催される同様のイベントのうち、5件が日本で開かれるのは、昨年に韓国を訪れた日本人観光客が約232万人で、世界トップだったことと深く関係している。
■〝潜在訪韓層〟が8割
韓国観光公社が今年2月に発表した資料によると、日本の海外旅行市場において、海外旅行者数(出国者数)および今後の動向には、男女間に大きな差がないと各種の統計や調査で明らかにされているが、実態としては韓国への渡航は若年女性が高いシェアを占めているという。
日本の首都圏に在住する若年男性1033人に独自のアンケートを行ったところ、これまで韓国カルチャーに関心のなかった男性層であっても、KPOPや韓国ドラマ、韓食に対する意識や旅行需要の高まりがコロナ後には認められて”潜在訪韓層”とも言うべき8割の対象者がいることを、韓国観光公社は資料を通じて発表していた。
■若年男性誘致への課題
一方で男性旅行者の誘致を目指し、韓国観光公社が作成した資料「MEN`s TRIP! In KOREA」では、韓食・チムジルバン・射撃体験・美容・ファッションなどのコンテンツが挙がっており、KPOPや韓国ドラマを前面に押し出そうとはしていない。
韓国旅行を専門にする日本の旅行会社「三進トラベルサービス」の立木健康代表取締役は、日本の若年男性が韓国旅行に消極的な現状について、「ビジネス目的で日本に来る韓国からの来訪者が現在も多いのに比べ、逆のケースは少ない。コロナ以前には、仕事で日本の会社が韓国へのツアーを組んでくれていたこともあったが、そのような機会は少なくなった。急激な経済成長を遂げた韓国の実情について、本当の意味で理解できていない人たちが多いと思われる」としている。
韓国観光公社の資料でも触れられていたように、今日イメージされるところの韓国カルチャーの主な担い手が、若年女性による男性アイドルグループへの「推し活」の一環であるという実態を、把握しておく必要があるだろう。その先に若年男性の興味を引く案件を考えるのであれば、ビジネスに引き寄せたサービスを考えるのは当然であり、韓国観光公社は地方への旅行や「ワーケーション(ワーク+バケーション)」の誘致なども推進しており、積極的な取り組みを行っている。
性別・年齢にとらわれず、韓国の魅力を多くの旅行客に発信し成果につながることを期待したい。 |