北韓帰還事業で渡航した後、脱北して韓国で暮らしている5人が15日、北韓政府を相手取って1人当たり1億ウォン(約1100万円)の損害賠償を求める訴訟をソウル中央地裁に起こした。
日本在住の脱北者が日本で同様の訴訟を起こしているが、韓国では初めて。
原告の一人で北送在日僑胞協会の李泰炅代表は1960年に8歳で北に渡ったときのことを「到着した途端、『地上の楽園』とかけ離れた様子に驚いた。敵性階層と位置付けられ、弾圧や監視を受け、多くの人が収容所に送られた。被害を法的に認めさせ、歴史を記録することに訴訟の意義がある」と明言した。
支援団体の北韓人権センターは、在日僑胞北送事業の主体は北韓で、朝総連と日本政府も責任から逃れることができないとし、保護義務を尽くさなかった韓国政府にも責任の一端がないとはいえないと指摘している。原告らが北韓帰還当時に韓国籍で、北韓が韓国の憲法上、韓国領土であることなどを踏まえ、韓国の裁判所に提訴した。
北韓帰還事業では、在日朝鮮人ら約9万3000人が渡航し、強制的に居住地や職業を割り当てられた。 |