著者が体験したテンプルステイを通じて、韓国の名刹を紹介する読みやすい韓国仏教の入門書。
2018年にユネスコ(国連教育科学文化機関)の世界文化遺産に登録された7寺院から解説(第1章)、2大ネームである慶尚南道「海印寺」と、慶尚北道「仏国寺」の紹介(第2章)、より特徴的な9寺院の紹介(第3章)のほか、末尾に「韓国仏教の略史」を付している。
いわゆる「思想史」ものの著述は、往々にして時代順にはじめから説き起こしていくことが定番で、序盤に興味を抱けない読者からは飽きられやすく、読了してもらえないケースがごまんとある。本書は、宗教のイメージがあまりない朝鮮王朝時代であっても、仏教が衰退せずに機能していた事例を多く挙げていて、さまざまな意味で新鮮な歴史入門書として評価できる。
韓国仏教についての説明や解説を気軽に読むことが出来る日本語の書籍は多くない。まして韓国のお寺での寝食を伴う実体験とあればなおさらだ。ありそうでなかった本として、一般読者だけでなく文系研究者などにも好まれる良書と言える。
社会評論社刊
定価=1540円(税込)
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