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最終更新日: 2024-11-19 12:39:03
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2024年03月19日 12:50
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岸田首相が訪朝に意欲
背景に支持率回復の思惑

 岸田文雄首相の電撃訪朝が現実味を帯びてきた。岸田首相は度々、訪朝の意思を公言している。それに呼応するかのように、北韓側も日本に秋波を送るような反応を示している。一方で、北韓は韓国に敵意を露わにしていることから、韓日の分断を試みる意図があるとみられる。岸田首相は当時の小泉純一郎首相訪朝以来の日朝首脳会談を実現させて、低迷する内閣支持率を回復させたい思惑がある。しかし、北東アジアの安全保障の不安定要因となっている北韓の核配備強化につながる支援には慎重に対応しなければならず、難しい対応を迫られている。

家族会が後押し

 岸田首相は直近では13日の参議院予算委員会で「諸問題を解決するために北朝鮮トップとの会談が重要だ。実現のため協議を進めていく」と意欲を示した。それに先立つ4日には拉致被害者家族会の代表者らと首相官邸で面会。「何としても自身の手で拉致問題を解決する」と決意を語った。家族会は「我が国の独自制裁を解除することに反対しない」という新たな運動方針を提出。岸田首相の訪朝を後押ししている。

北韓も対話の意思

 北韓側も日本に対し、対話の意思を示している。2月15日には金正恩朝鮮労働党総書記の妹である金与正党副部長が朝鮮中央通信を通じ、「岸田首相が平壌を訪問する日が来ることもあり得る」という談話を発表。年初の能登半島地震の見舞い電報には、岸田首相あてに「閣下」という尊称を使用している。

朝総連は前向き

 朝総連でも日本との関係改善に前向きになっている。日本の市民団体などが主催した「光明星節記念日朝友好新春講演会」が2月29日、都内で開催され、朝総連活動家ら約130人が参加した。
来賓の朝総連中央の徐忠彦副議長兼国際統一局長は、「日朝関係が改善されれば、北東アジアに平和の兆しも見えてくるはずだ。関係正常化を訴え、粘り強く運動を展開しよう」と呼び掛けた。2月7日には朝総連大阪・西大阪支部などが主催した「2024年日朝友好(西・港・大正)新春のつどい」で、来賓代表として朝総連本部の夫永旭委員長が、日朝友好親善を拡大するための支援を訴えた。
超党派の国会議員で構成している「日朝国交正常化推進議員連盟」の衛藤征士郎元衆院副議長は、朝総連幹部と複数回、面会したことを明らかにしている。

警戒強める韓国

 急速に距離を縮めている日朝に対し、韓国では韓日関係への揺さぶりと捉え、警戒を強めている。
朝鮮日報は、「北韓は岸田首相の平壌訪問というカードを利用し、韓日米協力の構図に揺さぶりをかける意図を隠そうとしない」と論じている。中央日報は、日朝接近で韓国が疎外されないようにしなければならないとして注視している。
共同通信が10日に発表した内閣支持率は20・1%で、前回の24・5%を4・4ポイント下回り、岸田内閣として過去最低を更新した。一般的に30%を切ると「危険水域」とされ、政権維持が難しくなるといわれる。低迷する支持率のV字回復を狙いたい思惑だが、韓国だけでなく、米国も頭越しに北韓との関係を進められることについて快く思わないだろう。韓日米の3カ国連携と拉致被害者問題など、日朝間の諸問題解決との間で、岸田首相は難しい舵取りに悩まされそうだ。
元産経新聞政治部編集委員でジャーナリストの佐伯浩明氏は「事態を打開するために、話し合うことは大事なこと」と訪朝に賛成している。そのうえで「拉致被害者の家族が高齢化して時間的制約があるので、解決のために支援金を用意するのもやむを得ないだろう。その場合、人道目的を使途にするという担保が必要だ」と述べている。

2024-03-20 4面
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