韓国政府・科学技術情報通信部は、国家科学技術諮問会議第57回運営委員会で、「2022年度技術水準評価結果案」について報告している。
韓国政府は科学技術水準をチェックするため11の技術について2年ごとに米国、欧州連合(EU)、日本、中国本土、韓国を比較・評価している。
今回の評価は建設、交通、災害安全、宇宙・航空・海洋、国防、機械・製造、素材・ナノ、農林水産・食品、生命・保健医療、エネルギー・資源、環境・気象、情報技術(ICT)・ソフトウェアの11分野136技術を対象に、論文や特許件数などを評価する定量分析と専門家の評価を並行して行ったものだ。
結果としては、米国を100とし、EUが94・7、日本86・4、中国本土82・6、韓国81・5となっている。
こうした結果を受けて、韓国国内では改めて、科学技術力の向上に対して産官学金融が力を合わせて動く必要があるとの声が出てきている。
韓国や台湾など、科学技術の進化を背景として国家経済の発展に向けた動きが見られているが、科学的・客観的・中立的であるとされる国際機関であるところの国際通貨基金IMFは、24年の世界経済見通しを発表した。その内容について簡単にまとめたい。
その総括を見ると、以下のようになっている。
「世界経済の成長率のベースライン予測は22年の3・5%から23年は3・0%、24年は2・9%へと暫時鈍化する見込みである。これは、歴史的(00~19年)平均である3・8%を大きく下回ることとなる。先進国の成長率は、金融政策の引き締めの影響が出始める中、22年の2・6%から、23年は1・5%、24年は1・4%へ鈍化する見込みであり、特に欧州には不安が残り、日本も減速する見込みである。新興市場国と発展途上国の成長率はやや鈍化し、22年の4・1%から、23年と24年は共に4・0%となる見込みであるが、潜在的な消費需要、インフラ開発需要という実需があることから先進国よりは高くなると予想されている。一方、世界のインフレ率は、国際的な一次産品価格の下落が金融政策の引き締めと合わさり、22年の8・7%から23年は6・9%、24年は5・8%へと安定的に鈍化する見込みである。コアインフレ率は総じて、より緩やかなペースで鈍化し、大半の地域で、25年まで目標値に戻らない見通しである」とコメントしている。
コストプッシュインフレや為替レートの変動に伴う輸入インフレという「悪いインフレ」を回避し、ディマンドプルインフレという「良いインフレ」へと上手に転換できるか否かが一つの大きなポイントである。もしも悪いインフレとなると、米国をはじめとする先進国は再びインフレ対策のための、「政策金利の引き上げ」をせざるを得なくなる。これが引き金となって、米国や韓国などでは不良債権問題が顕在化、その結果、大きな金融危機が世界にも広がっていく危険性も起こり得る。
IMFの見通しは、上述したような究極のリスクは想定から外したものであるということも念頭に置きながら参考にしたい。こうした比較的厳しい経済見通しが示されているが、資金バブルの中、流動性が高く市場の規模が大きく信頼性の高い主要国の株式市場における株価だけは堅調に推移している。
アジアの株式市場の個別銘柄の株価を見ると、日本のトヨタ自動車の2月15日の時価総額は55兆1882億円を記録し、同日のサムスン電子の時価総額(436兆ウォン)を韓国ウォン基準で見ると54兆ウォンほど上回っている。トヨタ自動車の時価総額がサムスン電子を上回るのは16年8月以降、7年6カ月ぶりとなる。
アジアの株式市場の時価総額ランキングは1位が台湾のTSMCとなっており、トヨタとサムスンを大きく引き離している。株価は強含みで推移している。
(愛知淑徳大学ビジネス学部ビジネス研究科教授 真田幸光) |