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最終更新日: 2024-11-19 12:39:03
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2024年03月05日 12:52
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ドラマと文学で探る韓国⑩ 変化する家族のかたち③ 青嶋昌子
『恋のスケッチ~応答せよ1988』×『鳥のおくりもの』

 先月の終わり、衝撃的なニュースが韓国を駆け巡った。2023年の出生率が0・72%と過去最低を記録したのである。8年連続の減少で、もしこのままの調子で減少が続けば、24年は0・7%を割り込むことが予想される。日本でも主要各紙がこぞって報道しているので、目にされた方も多いだろう。減少の要因はさまざまだが、養育費の重圧、女性のキャリア中断という点は、日本でも同じように抱える問題だといえる。韓国政府ももちろん対策に乗り出してはいるものの、なかなか成果は上がっていない。
出生率の前に、結婚自体が減っており、さらには適齢期の若者たちが恋愛すらしないという現状がある。そこには、明るい未来が想像できない、という若い世代の悲痛な叫びがある。『鳥のおくりもの』のジニが生きる1969年、『恋のスケッチ~応答せよ1988~』のドクソンが暮らす88年の若者には果たしてそんな悩みがなかったのだろうか?

ジニは叔父であるヨンフン兄さんの学友、ホソクに恋をする。「明日、一緒に近くの市場に行こう」と誘われ、ときめきで眠れない夜を過ごす。この世の女の子がみんなそうであるように。ホソクが12歳の自分ではなく、叔母のヨンオク姉さんに関心を持っていることを知りながら。
果樹園に向かう道で、バランスを崩して転びそうになったヨンオク姉さんをホソクがすばやく支える。ホソクはヨンオク姉さんの腕をなかなか放さない。ヨンオク姉さんにどうしようもない嫉妬を覚えるジニ。
恋の喜びを知ったばかりなのに、こんなにも早く試練が訪れるとは! これから先、ジニはこの恋しさに耐えられるだろうか? ところがヨンオク姉さんはといえば、文通相手で今は軍務に就いているイ・ヒョンニョルにお熱で、ホソクのことなどこれっぽちも目に入っていないのだった。
ジニにはホソクを愛する機会が与えられなかった。後日、ジニは回想する。苦しむのが嫌だから、人を愛するのが怖いから愛をつまらないものだと思ってきただけなのかもしれない。
一方、ドクソンのほうは、幼なじみのソヌのことを意識していたが、彼はドクソンではなく、彼女の姉、ボラに片思い中だった。初恋というのはジニもそうだったように、勘違いの妄想から始まる。ホソクが自分を選ぶと思い込んでいたジニ同様、ドクソンはソヌが自分を好きだと思い込む。それが勘違いだと気づいて、初恋はあえなく泡のように消えていくのだ。
そんな経験を通してこそ、人は妄想ではなく、本物の愛に出会うのかもしれない。初恋はそのためのレッスンだといえる。こうしてドクソンは本物の愛と出会うのだ。ソヌとボラには同姓同本婚という韓国特有の問題が浮上するが、それはまた別の機会に言及したい。

ジニは60年代が去っていくのを実感する。だが70年代に期待や希望を持つことができなかった。……大人になったジニは言う。90年代になっても、世の中は60年代と同じように流れていく、と。
それならば、2024年に生きる若者たちもまた、たとえ明るい未来が想像できなくとも、世の中は流れていくのだ。一歩を踏み出し、恐れることなく新たな恋に飛び込んだドクソンのように、若者たちが恋をする喜びを知る機会が得られることを願う。

2403-06-06 6面
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