尹錫悦政権が発足して以降、前政権の脱原発政策を破棄し、原発産業の強化を重要な政策として推進している。尹大統領は22日、慶尚南道庁で開催された「第14回国民と一緒にする民生討論会」で「今年を原発再跳躍の元年にするため全面的な支援を展開する」と述べた。原発推進に向けて、税制や金融面での後押しなどを行っていく予定だ。
尹錫悦大統領は22日、「今年を原発再跳躍の元年にするため、3・3兆ウォン規模の原発関連の工事を発注するとともに1兆ウォン規模の特別金融支援を行う」と明らかにした。
続けて「就任直後から原発産業の正常化を推進し、新ハヌル3~4号機の建設を再開し、前政権が禁止していた10基の原発の継続運転手続きを開始し、前政権5年間の受注額の6倍を超える4兆ウォンの原発輸出を達成した」と述べた。
韓国の原子力政策は李承晩政権が、1956年に米国と原子力協定を結び、59年に韓国原子力研究院を設立したことが始まりだ。
李承晩大統領は未来を見据えて韓国の原子力産業の土台を築き、その後、歴代政権が原子力技術の向上を支援してきた。
結果、韓国は世界有数の原子力技術国となり、2010年にはUAEのバラカ原発の建設を受注。15年には第1号機が稼働した。
その後、韓国の主力産業へと飛躍すると期待されたが、文在寅政権下では脱原発を掲げて新規原子力発電所の建設工事や運用を中断した。そのため文在寅政権下では、原発技術の向上が滞った。
尹政権発足後、原発を韓国の重要産業として位置づけ、拡大・成長の方針を推進してきた。
今回発表した計画は(1)税制優遇対象とする(2)金融支援が中心となる。
政府は、租特法施行令を改正し、大型原発の設計技術に限定していた投資税額控除の対象を製造技術全般に拡大する。SMR(小型モジュール原発)の投資税額控除対象も「製造技術の一部」から「全体製造技術」に広げる。
原発業界を対象にした特別金融支援も、昨年の5000億ウォンから今年は1兆ウォン台に強化される。また直接1000億ウォン規模の「原発産業金融支援事業」を新設し、市中銀行を通じた年2~3%台の低金利融資を支援する。
原発分野のR&Dはこれまでは解体~廃棄物管理をはじめとする後行周期分野が中心だったが、第4世代原発やSMRのような次世代有望技術分野に軸足を移す。特に「韓国政府で5年間に4兆ウォン以上を原子力研究開発(R&D)に投入し、世界最高水準の技術開発を後押しする」と強調した。
SMRの世界市場規模は、27年104億ドルから40年3000億ドルに拡大する見通しだ。
SMR技術開発とともに、伝統的な原発産業のハブである昌原をSMRファウンドリー前哨基地にする計画も立てた。
尹大統領は英国、フランス、チェコなどでの新規原発建設ブームに対応するために、「原発産業支援特別法」制定計画を推進し、国内原発産業と輸出を支援するとしている。さらに「合理的な炭素中立を達成するための50年までの中長期原発ロードマップを今年中に作成する」と述べた。 |